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二大蒸溜所のモルトがブレンドされた「グランツ スタンド ファスト 8年」


■「グランツ スタンド ファスト 8年」の特徴
「グランツ スタンド ファスト 8年」は8年以上熟成させたモルト原酒をブレンドし、1970年代にアメリカでクォートサイズのボトリングを行ったものです。
86プルーフボトルのラベルには「Glenfiddich（グレンフィデック）」と「Balvenie（バルヴェニー）ロビー・デュー」の文字が刻まれており、ブレンドされたモルト原酒がこの2つの蒸溜所のものだというのが分かります。

■グランツについて
グランツはウィリアム・グラント＆サンズ社が手掛ける、ブレンデッドスコッチウィスキーのブランドです。
ウィリアム・グラント＆サンズ社は遡ること130年余り前の1887年にウィリアム・グラントが創業したグレンフィディック蒸溜所からスタートしています。
経営が軌道に乗るにつれ、所有する蒸溜所の数も増えるともに、子どもから孫、ひ孫へと経営が受け継がれ、その過程でウィリアム・グラント＆サンズ社を設立しました。
グランツももともとはウィリアム・グラントが手掛けたモルト原酒の蒸溜所の一つでしたが、最大の取引先であったブレンデッドウイスキーメーカーが倒産したことで経営の危機に見舞われます。
そこで、自らがブレンデッドウィスキーを造ることに方向転換を図りました。
ウィリアム・グラントのもとにはグレンフィディック蒸溜所をはじめ、バルヴェニー蒸溜所など複数のスコッチモルトを製造する蒸溜所があったため、そのモルト原酒をもとにブレンドを始めたのです。
ブレンドするレシピも、創業者であるウィリアム・グラントが考案しており、そのレシピは今でも大切に受け継がれています。
特に「グランツ スタンド ファスト 8年」のように、スタンドファストの名称がグランツのウィスキーは創業当時の伝統的なレシピや製法をより反映させたものが多いです。
というのは、スタンドファストとは伝統を固守するとの意味があり、1887年から現在に至るまで家族経営を続けているグラント家の家訓であるからです。

■グレンフィディックについて

グレンフィディック蒸溜所はウィリアム・グラントが最初に造った蒸溜所で、最高のウィスキーを造りたいという長年の夢を実現するため、家族の力を借りて建設されたものです。
ウィリアム・グラントと妻、子どもたち9人が手作業で石を積み上げ、1年がかりで造り上げた家族の愛と情熱が詰まった蒸溜所です。
創業した1887年以降、子どもから孫、ひ孫へと受け継がれており、ひ孫の代の1963年には、ブレンデッドウィスキーしか流通していなかった時代に世界初となるシングルモルトを発売するとともに、現在に至るまでシングルモルト世界一の座を守り続けています。
バルヴェニーについて
バルヴェニー蒸溜所はグレンフィデック蒸溜所が開設されて5年後の1892年に、グレンフィデック蒸溜所のすぐ隣の敷地に設立されました。
グレンフィデック蒸溜所酵母と大麦は同じですが、仕込み水と製麦や蒸溜作業の方法が異なっています。
グレンフィデック蒸溜所では敷地内に確保されたロビー・デューの泉の水を、バルヴェニー蒸溜所ではコンバルヒルの泉の水を用いています。
また、バルヴェニー蒸溜所では両蒸溜所が位置するスコッチモルトの一大産地であるスペイサイド地域の中でも、唯一フロアモルティングを行っていることです。
とても手間がかかる作業で、現代では多くの蒸溜所がモダンモルティング作業に移行しています。

■「グランツ スタンド ファスト 8年」での融合

「グランツ スタンド ファスト 8年」はウィリアム・グラント＆サンズ社が誇る2つの蒸溜所のモルト原酒を、創業者であるウィリアム・グラントの同じ信念と伝統を受け継ぐグランツが、ウィリアム・グラントのレシピをもとにブレンドを行っている傑作品です。
仕込み水や製麦製法が異なるグレンフィディック蒸溜所とバルヴェニー蒸溜所は、個性が異なるモルト原酒を生み出します。
それを伝統のレシピと磨き抜かれた技術でブレンドしたものです。