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■常に買える白州

南アルプスにある、森の蒸留所とも呼ばれる白州蒸留所で作られるシングルモルトウイスキーは、エイジ記載はあるものの名前は白州のみです。
サントリー創始者の鳥居信治郎が作り上げた、京都府と大阪府の堺にある天王山の麓の山崎にある山崎蒸留所の次に作られた白州蒸留所は、創始者の鳥居信治郎の嫡男鳥居吉太郎が33歳という若さでこの世を去ったことから、弟である佐治敬三によって鳥居信治郎からマイスターを継ぎ、二代目となって作り上げた蒸留所です。
山崎は水がきれいでおいしく、ウイスキー作りに適した環境であったことから、山崎からはサントリーを代表するシングルモルトウイスキー、山崎や響が生まれました。
佐治敬三は、山崎や響とは趣の異なる新しいシングルモルトウイスキーを作るべく、新たな候補地を探し、ついに南アルプスの決して温暖な気候環境とは言えないところに森の蒸留所を作り上げたのです。

■ウイスキーにとってはこの上ない環境

南アルプスにある森の蒸留所は標高が高いこともあり、気候の変化が大きいところが特徴です。
この環境はウイスキーの作り手であるマイスターには厳しい環境ですが、ウイスキーにとっては絶好の場所と言えます。
樽の中でじっくり熟成される白州もあれば、比較的若い段階で飲まれる白州もあり、お好みに応じてさまざまな白州を作り出しています。
もちろん、サントリーが培ってきた多くの原酒から最適なものをマイスターが選んでブレンドするという製造手法は、山崎蒸留所も白州蒸留所も変わりありません。
サントリーのシングルモルトは、製造方法は同じでも、作られる場所によって味わいが変わり、より楽しみが増えるという歴史を紡ぎだしてきたわけです。

■根強いファンがいます

白州はノーエイジのものから、12年、18年、そしてもっとも長い25年までがあります。
それぞれ味わいが異なるので、年月が刻んだ変化を楽しんでみるのがおススメです。
その中で数量限定にて発売されているのが、白州ヘビリーピーテッドです。
こちらは、白州を構成する複数の原酒の中から、特にスモーキーなタイプだけを厳選してヴァッティングさせたシングルモルトウイスキーであるというところに、最大の特徴があります。
スモーキーな原酒だけといっても、白州のモルトならではの若葉を連想させるさわやかさや、バニラを思わせる甘い香りに繊細で甘やかなスモーキーな香りが加わることから、他の白州とは一味違う印象を受けるのが、白州ヘビリーピーテッドのよさです。
数量限定ですが、ほぼ毎年販売されていることから、毎年購入するのを楽しみにしている人も多く、一度は飲んでみたい白州と言えます。

■余韻が楽しめる白州

白州は熟成期間が短いものほどすっきりしたキレの中に甘さを感じられるのが特徴なのですが、熟成が増してくるにしたがって長い余韻が楽しめるというところによさを見出すこともできます。
スモークした原酒をブレンドすることから、すべての白州にスモーキーさを感じることができるのですが、そのスモーキーさ一つをとっても個性がありますので、飲み比べの楽しみができるところが白州の魅力です。
とりわけヘビリーピーテッドは、ピートを強めの煙で焚いたスモーキーさに甘みがふっくらと調和して、長い余韻が楽しめます。
この余韻がたまらなく好きという人が多く、毎年の販売を心待ちにされることにつながっています。
しっかりと煙を当てられたヘビリーピーテッド麦芽はじっくり発酵を重ねたのち、直火によるていねいな蒸留を経て、再び森の貯蔵庫で発酵を重ねます。
数量限定でいつでも買えるわけではないのは、サントリーが培ってきた技術を存分に生かし、特別かつ貴重な一本を作り上げるためであって、大量生産で作るという考えはみじんもありません。
数量限定となると早い者勝ちの様相を呈してきますが、これだけは毎年どうしても手に入れないとという白州ファンは意外と多いのではないでしょうか。