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■サントリーには三つ蒸溜所がある

ウイスキー製造で日本を代表する企業と言えばサントリーが挙げられますが、サントリーは国内に三つの蒸溜所を所有しています。
一つは大阪府にある山崎蒸溜所で、こちらは1923年にできた日本で最も古い蒸溜所となっています。
もう一つは愛知県にある知多蒸溜所で、こちらは1972年にできた蒸溜所ですが、元々はサントリーの所有物ではなくサングレインという子会社が作ったものでした。
最後の一つが山梨県にある白州蒸溜所です。
こちらは1973年にできて、サントリーが作った蒸溜所としては2つ目のものでした。
山崎蒸溜所ができてから50年目に作られた蒸溜所であるため、記念に作られた意味合いも込められています。
山梨県と言うと南アルプスが思い浮かぶところですが、実はサントリーはここにもう一つの製造所を所有しています。
我々が普段よく飲んでいる南アルプスから汲みだされたミネラルウォーターはここから出来ているのですが、白州蒸溜所でもこの水が使われています。
標高700メートルの自然豊かな場所に湧き出る水からできるウイスキーは国内で高い人気を集めています。
白州蒸溜所という名前を聞いて、サントリーから販売されているウイスキーの「白州」はここから来たのか、と思い浮かんだ人も多いでしょう。
もっとも、「白州」が生まれるまではそれなりに時間が必要でした。

■初めにできたわけではない「白州」

先程サントリーには山崎蒸溜所があると説明しましたが、これについても同社のウイスキーである「山崎」を思い浮かべる人が多いでしょう。
もっとも、こちらのウイスキーについても山崎蒸溜所が生まれてすぐに販売されたわけではなく、蒸溜所ができてから60年経ってようやく販売されたものでした。
「白州」が発売されたのは1994年で、蒸溜所ができてから20年を待たなくてはならなかったのです。
蒸溜所の名前を冠したウイスキーを販売するにはノウハウをしっかりと蓄積してからでなくてはいけない、というところがうかがえます。
また、それだけでなく「白州」は他のサントリー製のウイスキーと違ってシングルモルトウイスキーであるという特徴が挙げられます。
麦だけを使ってウイスキーを作るには相当な努力がかけられなければいけません。
「白州」という商品は白州蒸溜所が培ってきた技術と情熱の結晶であるといえるでしょう。

■世界に進出する白洲

さて、「白州」が販売されたのは日本のウイスキーが海外に進出しようとしている時期でもありました。
当初日本のウイスキーはスコットランドのウイスキーを真似しながら作られていましたが、そのままではなかなか売り上げが伸びなかったため独自の味わいへと変化していったのです。
そうして生まれたジャパニーズ・ウイスキーが海外へと進出するのですから、これは冒険とも呼べる出来事でした。
日本人のために作られたウイスキーを海外の人々に味わわせようというのですから、好みの違いが出る可能性もあります。
ですから「白州」は日本人向けに作られながらも、海外の人にも飲んでもらいたい、という願いが込められたウイスキーと言えるでしょう。
不安と期待が入り混じった中、サントリーは2008年に自信作である白州25年をISCというイギリスで行われるコンペティションに送り出します。
こちらのコンペティションでは3日間にわたって世界中のウイスキーを厳正に審査するのですが、そこで白州25年は金賞を受賞するにいたりました。
翌年にはISWCというもう一つのイギリスで行われるコンペティションで金賞を受賞します。
世界で有名な二つのコンペティションで共に金賞を受賞するだけでも相当なことなのですが、白州25年の快進撃はまだまだ終わりませんでした。
2012年に行われたISCで白州25年はなんと最高賞を受賞するに至ったのです。
白州25年は日本でも飲むことができますが、それは世界一のウイスキーを日本で気軽に手に入れられることを意味するのです。