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■世界最高峰のコニャック
コニャックの三大銘柄の一つと言われるヘネシーは、ヘネシー社の手掛ける世界最高峰のコニャックです。
創業は1765年で、250周年にあたる2015年には代々的なイベントも行われました。
創業者はリシャール（英語名リチャード）・ヘネシーという人物で、そこからわずか30年足らず後の1794年には、アメリカへの初めての出荷を果たしています。
この頃アメリカは、独立戦争から18年ほど経ったあたりです。
まだまだ勝利を勝ち取ったばかりの若い国アメリカで、ヘネシー・コニャックは大好評を博すことになりました。
創業者リシャールが生まれたのは、1724年のアイルランド・コーク州です。
貴族の家でしたが、当時アイルランドはイングランドの圧政に苦しんでおり、逃れるために20歳を過ぎた1745年、ルイ15世のアイルランド旅団に入隊しフランスへと逃れます。
1750年頃駐留したのがコニャック地方で、この駐留をきっかけに、リシャールはこの地でコニャックの製造を始めたのです。
実は1756年にはリシャールは旅団の団長になっていたと言いますから、もともと組織を率いる才があったのでしょう。
リシャールは退役し、家族が住むオーステンデの地でオー・ド・ヴィー（原酒）の取引を始めることになります。
そこから1765年にコニャックの土地に戻り、ヘネシー社を設立しました。

当時としては斬新だったオー・ド・ヴィーの熟成に挑戦し、シャラント川沿岸にセラーを設け、十年以上も原酒を熟成させることで唯一無二のコニャックを作り上げたのです。
彼が生み出した完璧に近い芸術的なコニャックは、フランスはもちろん海外で絶大な知名度を得ることとなりました。
1784年にはルイ16世の宮廷から、最高級のコニャックを納品するようにという要請もあったそうです。
そして1800年にリシャールがこの世を去ると、マスターブレンダーとしてヤン・フィユーがヘネシー社に入社します。
フィユー家もまた彼から7世代を経て、現在もヘネシーの魂を守り続けています。

■紡がれるリシャールのビジョンとこだわり
リシャール・ヘネシーには素晴らしい成功へのビジョンがあり、時代が味方することも予見していたと言われます。
コニャックはフランスのコニャック地方で作られるブランデーであり、ブドウが原料の蒸留酒です。
もともとのコニャックはほとんどアルコール分もなく、酸味が強く粗末なワインだったと言われています。
とても質の良いものではなかったのですが、オランダ人貿易商が焼いて蒸留したところ、すばらしい酒に変化したのがきっかけと言われています。
そこからブランデーとしての知名度が上がり、長い歴史の中で味が磨かれ、今のような高級酒の地位を得ることになりました。
そんなコニャック造りにこだわったリシャールは、まさにコニャックに魅了された人物と言えます。
団長の身分を返上してまでこだわったコニャック造りへの情熱は、かたくなに伝統を重んじるものでした。
原料となるブドウを厳選し、2段階蒸留法で丁寧に蒸留、多彩なオー・ド・ヴィーをブレンドするという秘伝の作業は、1800年当時から現在も守り続けられています。
現在ヘネシー家は8代目に当たるモーリス・リチャード・ヘネシー氏が当主を務めていますが、こうした製造のこだわりは、未来永劫変わらないと断言します。
なるべく昔のままのブドウ作りを目指し、除草剤や農薬などは最小限に抑え、ヘネシーのクオリティを守り抜いていると言います。
そしてヘネシー社のこだわりの一つでもある品質の格付けは、創業者のひ孫に当たるモーリス・ヘネシー氏が始めたものです。
今は当たり前となったコニャックのグレード、X.Oを生み出したのもヘネシー社です。
まさにコニャックそのものの歴史が、ヘネシーには凝縮されているのです。

■ヘネシー 250周年 コレクターブレンド
250周年を迎えた2015年6月に、ヘネシー 250周年 コレクターブレンドがリリースされました。
技と情熱を今に伝えるヘネシー家と、ブレンディングの技を継承するフィリュー家が紡いで来た卓越した技術が込められた、特別なコニャックと言えます。
最高のコンディションで熟成させたという完璧なハーモニーは、繊細なアロマ香を静かに届けてくれるでしょう。
両家が生涯をかけて挑んで来た厳しい仕事は、こんなにも華やかな結晶となって現れています。