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■創業250年を超える歴史
老舗ブランドには、創業何百年というところが珍しくありませんが、コニャックの老舗ブランドとして知られるヘネシーも、2015年に創業250年を迎えました。
老舗には創業何百年という歴史があることは、何ら不思議なことではないという気がしますが、よくよく考えてみれば、商売というものはいつも順風満帆というわけではありません。
また、よほど恵まれた条件で創業したのではない限り、特別な庇護など何もなく、地道に評判を積み重ね、努力をして「あの店の品は品質がよい」や「とてもおいしい」といった評価を作っていくことになり、その中で過ごす何百年がいかに厳しいかは想像に難しくないといえるでしょう。
ヘネシーは、フランスのコニャック地方に誕生したことから、条件を満たしさえすればコニャックが作れる土地柄であったことは有利でしたが、だからと言ってワイングロワーのほとんどがコニャック作りをしているわけではありません。
なぜなら、ワインを作るのに比べると、コニャックはワインから蒸留酒であるブランデーを作り、さらにブランデーの中でも最高級の物だけがコニャックとなるからです。
つまり、それだけ多くの手間をかけないと作り出せないお酒ということで、すべてのワインを作るグロワーがコニャックはもちろんのこと、ブランデー作りさえもしていないのは、手間がかかると同時に、コストもかかって割に合わないことが原因だと考えられます。

■ヘネシーが取り組んだ理由
そんな手間暇から、コストも時間もかかる面倒なコニャックというお酒作りにヘネシーが取り組んだ理由はただ一つ、創業者がコニャック製造を始めたからです。
創業者であるリシャール（リチャード）・ヘネシーはコニャックというお酒に人一倍の情熱を注ぎこみ、ブドウの品種にこだわり、ブドウ畑には4つのランクを設け、それぞれで原酒となるブドウの栽培を行うなどといった具合に、非常に熱心に取り組んだことで知られています。
このリシャールの後を継ぐ者は、リシャールを凌ぐ情熱を持っていないと、ヘネシーがつぶれてしまうのは明らかです。
この遺志を立派に継いで見せたのが、曾孫のモーリスでした。
モーリスはコニャックの品質をすぐにわかるものにするために、品質の良さを星の数で表した「コニャックの品質の格付けシステム」というものを決め、導入をした人です。
これにより、こちらも画期的だった瓶詰めされたコニャックボトルを見れば、その品質が星印によって分かるようになり、コニャック選びが誰にとっても非常に簡単になったのです。
これは、普段からコニャックを飲み慣れていた人にとっても、これからコニャックを飲み始めようと思っていた人のどちらにとっても、選択するのに十分すぎるヒントになることは間違いなかったといえます。
また、当時はもちろん、現代にも通用するといえます。

■有名なヘネシーのコラボコニャックといえば
ヘネシーのコニャックの中でもっとも有名といえば、ヘネシー家が自分たちや友人、さらには従業員に飲んでもらおうと特別に作った原酒からブレンドされたものを飲んでいたヘネシーX.Oを商品化したものだと言われています。
こちらも、先に挙げたモーリス・ヘネシーが作ったことで有名で、VSOPを飲んだら次はXOといった感じで、格上げされていくタイプと言えます。
そんなヘネシーがコラボしたアーティストが、世界のトップブランドから引く手数多のタトゥーアーティスト、スコット・キャンベルとのコラボでできた「ヘネシー V.S リミテッドエディション by スコット・キャンベル」で、2016年9月に数量限定で販売されました。
タトゥーとヘネシーに共通する要素などあるのかと思いきや、樽の全ての蓋は今も手作りがされていることから、一つ一つがオリジナルで、まさにタトゥーに共有する要素と言えます。
このヘネシーが1本入った箱を3箱並べると、スコット・キャンベル氏によるデザインアートが出来上がる仕組みになっていますので、ヘネシー及びスコット・キャンベル氏のファン、どちらにとっても3つ手に入れてそのデザインアートを見てみたいものです。
さらにボトルには二枚の翼が描かれており、テーマは「ふたりの人物の対話」です。
このふたりが、ヘネシーとキャンベルであることは明らかです。
芳醇なスパイスと香り高いフルーツのアロマは、ヘネシーにしか作り出せない上質なものとなっており、40種類ものオー・ド・ヴィーと呼ばれる原酒を厳選してブレンドしたコニャックの味わいは、逸品と呼ぶにふさわしい仕上がりになっています。
ボトルとのコラボはもちろん、コニャックそのものも含めてじっくり味わいたい芸術品です。