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こだわりぬいて253年が経過したヘネシー

■長く続いている会社は創業者がすごかった
コニャック地方にあり、世界三大コニャックの一つとして数えられるヘネシーは、253年もの歴史を連綿と受け継ぎ、よほどのことがなければ、これからもこの歴史の年数を伸ばしていくことでしょう。
こうした長い歴史を持つ企業のすごいところとして共通するのは、創業者が皆押し並べて優れた人材であったということです。
日本でいえば、ジャンルは違いますが、自動車業界や家電業界で、今なお長い期間にわたって経営を続けている企業は、おしなべて創業者が良かったという特徴があります。
類まれなる明晰な頭脳を生かして大企業に成長させた創業者もいれば、自らに学がないからと、優秀な人たちを社員に雇い、その人たちの意見を聞いて会社を大きくしていったという創業者もいます。
どちらも優れた創業者であり、特に後者においては、人を動かす名人だったとも言えます。
ヘネシーはどちらかというと、創業者が何でもやってしまう人でしたので、コニャック作りに関しては特に問題なかったろうと思われます。
それよりも、ヘネシーが優れたコニャックを作っていることを世に知らしめるにはどうしたらよいのか、そちらの方での人材、今でいうところのマーケティングを任せられる有能な人材を必要としていたのではなかったでしょうか。

■最近のヘネシーはどうなったのか
フランス国内でもコニャック地方だけでなく、コニャックとみなされる基準を満たした高級ブランデーが作られるようになると、逆にコニャックに似た上質なアルコールであるブランデーなどから、コニャックに負けず劣らずの品質の物も登場してくるようになります。
そうなるとコニャックでなくてもいいのではないかという気になるのも、致し方ないところでしょう。
しかし、「これはもしかして、ヘネシー家で家族が常にプライベート用に飲むための、もっとも上質のブドウ畑とそこでとれる良質のブドウ、ひいては卓越した上流技術によって、作られた非常に優れたコニャックなのではないか」と希望を持てるものが登場した場合、やはりコニャックが好きという人にとっては、一度は飲んでみたい銘柄になるに違いありません。
というのも、かつてのヘネシーの歴史の中では、上質なコニャックがいくつも作り出され、その多くが大勢の人を魅了してきたからです。
あるいは、時の権力者によって、政治的な駆け引きに使われてきたこともあったでしょう。
それを考えると、上質なコニャックを生み出すフランスという国は、大きな武器を持っているといえます。
最近のヘネシーは、若者に洋酒を好む傾向が強くなってきたこともあって、相変わらず世界三大コニャックとしての名声をゆるぎないものとなっています。

■ヘネシー創業100周年の味とは
ヘネシー社が創業100周年を迎えた記念すべき年に作られたコニャックが、「ヘネシー プライベートリザーブ 」です。
かつてモーリス・ヘネシーが当主であった際に特別な依頼によって、マスター・ブレンダーのエミール・フィユーに、レアで特別な原酒をボトリングしたアイテムを作るよう命じたことがあります。
ヘネシー創業100周年を迎えるにあたり、当主のジル・ヘネシーはマスター・ブレンダーのヤン・フィユーに命じて、その味を復活するよう命じたのが、このプライベート・リザーブです。
ボトリングされたコニャックは、全て特級のグラン・シャンパーニュであり、さらに シリアル・ナンバー入りの限定生産品であったことから、ヘネシーファンにとっては垂涎の的と言える逸品となっています。
ヘネシーの歴史は長いことから、これまでの歴史の間に生まれた逸品は数多くありますが、その中でも特に創業100周年記念として作られたものだけに、コレクターやヘネシーファンとしては、ぜひとも味わいたい、あるいはコレクションしておきたいコニャックと言えます。
限定生産品のため、手に入れるのは非常に難しいのは確実ですが、努力してみる価値はあるかもしれません。