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■1765年から続くヘネシーの情熱
ヘネシーを創業したのはリシャール（英語名リチャード）ヘネシーです。
彼の情熱は8世代に渡り、今も脈々と受け継がれています。
設立したのはフランスのコニャック地方ですが、リチャードはこの地方に生まれたわけでもなければ、フランスに生まれたわけですらありません。

彼はアイルランドの貴族の家庭に生まれ、イングランドの圧政に苦しみ、ルイ15世が現地で募集した旅団に応募することで軍人としてフランスへ渡ったのです。
この時フランスで最初に駐留したのがコニャック地方でした。
彼がそこで当時のコニャックを知り、どのような感情を抱いたかはわかりません。

ただ、創業直前、リシャールは旅団の団長という立場でした。
30歳過ぎという若さで軍人将校の立場を返上しても、コニャックづくりに人生をかけたことは間違いありません。

そこから250年あまり、ヘネシーはコニャックを代表するブランドとなり、間違いなく最高級の酒の代名詞として世界に知られるようになったのです。

ちなみにブランドロゴは1856年からヘネシー家の家紋、ブラ・アルメになっていますが、図柄は斧を振り上げるたくましい腕です。
彼の12年の軍歴を象徴しているとも言われています。

■英語を活かして世界に活路
1794年、ヘネシーのコニャックはアメリカに初出荷されます。
こだわりの製法で高品質なコニャックづくりに成功していたとは言え、当時ヨーロッパを出て海外に販路を広げた功績は計り知れません。

ここにはアイルランド出身だった彼が、英語を駆使してアメリカと交渉を進められたことに、大きなアドバンテージがあったと言われます。
当時のアメリカは、独立を勝ち取ってまだ18年の若い国でした。
ヘネシーの高品質なコニャックはまたたくまに現地で大好評となり、深く愛されるようになります。

これを皮切りに、ヘネシーのコニャックはロシアや中国などにも輸出され、徐々に世界に広がって行くことになりました。
日本に輸出されたのは1868年ですから、150年ほど前の日本人も、今と変わらないヘネシーの味わいに感動したはずです。

ヘネシーは樹齢100年以上のオーク樽を30万樽以上保有しており、200年以上前から保存しているオー・ド・ヴィー・ヴァン（原酒）もあります。
ブランデーはブレンドが命と言われますが、もちろんこうした古いオー・ド・ヴィー・ヴァンも現在のブレンドに入っており、そのことで変わらない味を守り続けています。

ヘネシーは、いつの時代、いつ飲んでもヘネシーの味がするからこそ、揺るがない地位を築いていると言えるでしょう。

■多くの点でブランデーに影響を与えたブランド
ヘネシーのコニャックは素晴らしい品質を持ち、ブランデーの地位を大きく引き上げた存在です。
そしてその他にもブランデーそのものに大きな影響を与えたのが、品質の格付けシステムです。

ヘネシーはコニャックの品質を星の数で示し、購入者が客観的に出来を判断できる基準を作り上げました。
今では当たり前のように使われている手法ですが、このシステムの元になったのは、創業者のリシャールのひ孫にあたるモーリス・ヘネシーです。

1817年、後にイギリス国王ジョージ4世となるプリンス・オブ・ウェールズはコニャックを非常に愛するが故、ヘネシー社に特別な注文を出しました。
その内容が、Very Superior Old Pale、つまりV.S.O.P.の格付けにつながるものとなります。
意味としては、非常に優れている古くて澄んだコニャック、ということになりますが、なかなかするどいオーダーと言えるでしょう。

以来、素晴らしい品質のV.S.O.P.がコニャックの格付けを示すものとなりました。
このように、ヘネシーはたくさんの王侯貴族とのエピソードに欠きません。
翌年の1818年にはロシア皇后のマリア・フョードロヴナも、息子のアレクサンドル1世の誕生日のために、誰も飲んだことのない最高級コニャックを造るようヘネシーにオーダーしています。

■ミレニアムを記念するヘネシー タイムレス
ヘネシー タイムレスは、2000年を記念してリリースされた1本です。
年号にちなみ数量も2000本限定だったので、非常に希少性の高いボトルと言えるでしょう。

内容も、ヘネシー社で最も品質が良かった20世紀のグレートヴィンテージを約11種類ブレンドしています。
極上に贅沢で、他では味わえない深いコニャックに仕上がっています。
ボトルはもちろんバカラ社製で、空のボトルですら市場で高値がつく逸品です。
なだらかなラインを持つ独特なデザインは、独特なパッケージに入って見る者を楽しませてくれます。
タイムレス、まさに時代を超越したコニャックに相応しい存在です。