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闇に光をもたらした伝説の男へ捧げるボトル

■高台から街を見下ろす蒸溜所

ハイランドパーク蒸溜所は、スコットランド最北のオークニー諸島、メインランド島カークウォールに位置しています。
オークニー諸島は大小70個ほどの島々で構成されていますが、オークニーという名がアザラシの島を意味するように、まさに北海の野生の島といえるでしょう。
オークニー諸島が中世にノルウェー領地であったことから、バイキングの文化を色濃く残しています。
ハイランドパーク蒸溜所もそのことを強く意識した商品を打ち出しており、ハイランドの名を冠してはいますが、決してハイランドモルトではありません。
その名は蒸溜所のあった場所から名付けられており、街から見上げるほどの高台にそれはあります。
ここに正式な蒸溜所が設立されたのは1798年、デビット・ロバートソンという人物が蒸溜所の運営権を手にしたことが始まりです。
ただし、非公式にはそのもっと前からこの場所では密造酒が製造されていました。
その密造者こそマグナス・ユンソン、なんと教会の牧師を務めながらウイスキーを密造していたと伝わる人物です。

■伝説の密造者マグナス・ユンソン

マグナス・ユンソンが現在のハイランドパークにあたる場所で密造酒を造っていたのは、18世紀後半頃だといわれています。
ただし詳細はわかっておらず、今では伝説的な人物になっています。
当時のスコットランドは密造酒の製造がかなり盛んに行われており、検閲を逃れるのによく利用されていたのが教会でした。
マグナス・ユンソンは密造酒を説教壇の下に隠し、牧師も務めていたとされていますが、教会に検察官が踏み込む情報を得れば密造酒を牧師館へ移し、シーツを被せて天然痘患者のように見せかけたともいわれています。
彼は密造時代のダークヒーローとも呼ばれ、ハイランドパークの歴史を語るときには欠かせない人物です。
昼は牧師としてはたらき、夜はウイスキーを造り出し、厳しい税収に苦しみながら過酷な労働に耐えるオークニーの人々の心を、極上の一杯で温めていたといわれています。

■ハイランドパークの歴史

現在のハイランドパークの礎を築いたのは、紛れもなくマグナス・ユンソンです。
正式に蒸溜所を設立したのはデビッド・ロバートソンですが、そのときの名前はハイランドパークだったかどうか定かではありません。
ハイランドパークという名称が確かに使われていたのは、1816年～1818年頃にロバートソン家のジョン・ロバートソンが実権を握った頃です。
ジョンはマグナス・ユンソンを捕えた徴税官として知られており、その後1826年にはジョンの義理の父であるロバート・ボーウィックがハイランドパーク蒸溜所の実権を取得しました。
ロバートの実の息子であるジョージ・ボーウィックが1840年に後を継いだとき、蒸溜所はすでに荒廃していたといわれています。
1869年にジョージの弟ジェイムズ・ボーウィックがスチュワート&マッカイに売却したことで、蒸溜所はようやくまともに稼働することになったのです。
その後グレンリベット蒸溜所で支配人を務めたジェイムズ・グラントが蒸溜所を購入して経営、1999年にエドリントンとウィリアム・グラントが共同設立した1887カンパニーを通じ買収、現在に至ります。

■伝説の人物に捧げられたハイランドパーク ダーク オリジンズ

ハイランドパーク ダーク オリジンズは、闇に活躍したマグナス・ユニソンの活躍をコンセプトに造られたシングルモルトウイスキーです。
ボトルもダークヒーローを思わせるマットブラックを基調とし、重厚感を感じさせる魅力的なデザインに仕上げられています。
熟成樽の8割がファーストフィルのシェリー樽という贅沢さで、豊かな色と甘い香り、口に含むと複雑な味わいへと変化するシックでゴージャスな逸品です。
同蒸溜所のウイスキーは、そのほとんどがルーツであるバイキングや北欧神話をモチーフとしてデザインされていますが、創始者その人をイメージしたボトルはほかにありません。
マットブラックのボトルに刻印されたハイランドパークのロゴを見つめていると、彼の魂がそこにあるような迫力が伝わってくるでしょう。