お酒買取なら大阪のネオプライス

北の巨人がヒールを表現した複雑で愉快な極上ウイスキー

■最も権威ある北の巨人

ハイランドパーク蒸溜所は、世界的に人気の高いスコッチウイスキーを造り出す「北の巨人」です。
そんな異名を持つ同蒸溜所は、スコットランド本土の北に大小70個の島々で形成するオークニー諸島のメインランドにあります。
その北緯は59度、周りを海に囲まれた極寒の地です。
そんな場所でハイランドパークは、原料のモルトの一部を自家製麦でまかなうフロアモルティングを今でも行っている希少な蒸溜所の一つでもあります。
オークニー諸島の州都カークウォールの郊外に位置する同蒸溜所は、正式にも200年以上という長い歴史を持ちます。
正式にもというのは、正式に蒸溜所として設立される以前にも、その場所では密造が行われていたからです。
その密造の中心人物だったのが、ヴァイキングの子孫であるマグナス・ユンソンという人物と伝えられています。

■ダークヒーローと呼ばれる男

ハイランドパーク蒸溜所だけでなく、オークニー諸島のウイスキーの歴史を語るうえで絶対に外すことができないのがマグナス・ユンソンです。
彼は平日昼に肉屋で熱心に働き、日曜日にはセント・マグナス大聖堂の牧師を務め、そして夜には役人の目をかいくぐり極上のウイスキーを密造していた伝説的な人物です。
当時スコットランド周辺ではウイスキーの密造が盛んに行われていましたが、それは同地がイングランドの支配下になった途端、ウイスキーに非常に高額な税金がかけられたためです。
厳しい酒税は酒類の値段を大幅に上げ、その余波がオークニーに住まう人々の生活を苦しめました。
ヴァイキングの文化にはウイスキーは欠かせません。
過酷な地で過酷な労働に耐える人々が、その心から酒の癒しを奪われてはならない、ヴァイキング魂が宿るマグナス・ユンソンはそう考えたのでしょう。
決して金のためだけでなく強い正義感で密造を続け、その行動はいつしかオークニー諸島の人々からダークヒーローと呼ばれるまでに至ったのです。
彼は密造ウイスキーを教会に隠し、検察官を退けながら密造を続けました。
それでも1798年、ついにマグナス・ユンソンは逮捕され、蒸溜所はロバートソン家に実権が移ることになりました。
のちにオーナーとなったジョン・ロバートソンは、マグナス・ユンソンその人を逮捕した徴税官だったといわれています。
ただし、彼が蒸溜所を引き継いだことで、マグナス・ユンソンが造り続けたクオリティの高いウイスキーは受け継がれ、今も世界の人々に至福をもたらしているのです。

■ハイランドパークとヴァイキング

ハイランドパークに限りませんが、オークニー諸島にはヴァイキングの精神が脈々と受け継がれています。
9世紀初頭、土地を求めてやってきたヴァイキングがこの地に根付き、約600年文化を形成したと考えられています。
1468年デンマーク・スウェーデン王のクリスチャン1世の娘がスコットランド王に嫁いだことで、オークニー諸島はスコットランドに返還されることになりました。
それでも島民の半数近くはヴァイキングの子孫であり、独特のヴァイキング魂がそこに息づいています。
ヴァイキングの文化ではウイスキーは欠かすことのできないものであり、祝いの席ではウイスキーボトルを早く空ければ幸運がもたらされるというほど、儀式にも多用されてきました。
ヴァイキングのスピリッツ、北欧の地、誇り高き文化を持つハイランドパーク蒸溜所が、過去、神話の世界を取り入れたシリーズを手掛けたのも納得でしょう。

■複雑で愉快なハイランドパーク ヴァルハラ コレクション ロキ

ハイランドパークが北欧神話をモチーフにリリースしたシリーズがヴァルハラコレクションです。
2012年から毎年1種類ずつリリースされた限定品ですが、ハイランドパーク ヴァルハラ コレクション ロキはその第2弾、2013年にリリースされた一本です。
その名の通り北欧神話に登場する神「ロキ（LOKI）」がモチーフですが、ロキは無秩序を人に与える神であり、変幻自在で予測不能なヒールです。
ハイランドパークがこの神をシングルモルトで表現すると、非常にユニークで複雑なフレーバーが生まれました。
火を司るトリックスター、ロキらしく、フィニッシュまで次々に変化する味わいは実に愉快です。
ヴァルハラコレクションの中でも絶賛された極上ウイスキー、ぜひ一度その魅力に翻弄されてみてはいかがでしょうか。