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2級ウイスキーのイメージを覆す熟成香と深いコクが印象的なハイニッカ

■モルトとカフェグレーンのみのウイスキーが登場

「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」は1986年（昭和61年）に発売された2級ブレンデッドウイスキーで、1989年（平成元年）に終売した商品です。
「ハイニッカ」は酒税法改正前はモルトとカフェグレーンにスピリッツを使用していましたが、酒税法改正後の1986年（昭和61年）2月からはスピリッツを一切使用しない2級ウイスキーに変更しました。
それが「ハイニッカ ニューブレンド」で、モルトとカフェグレーンのみで造られたウイスキーとなっているのが大きな特徴です。
「ハイニッカ ニューブレンド」は大麦麦芽から造るモルト原酒と、とうもろこしから造るグレーンのみをブレンドしています。
樽熟成香と深いコクのある味わいは、これまでの2級ウイスキーのイメージを大きく覆すものでした。
香りとコクが特に強い北海道余市モルトを厳選し、とうもろこしのまろやかな香味が活きるグレーンのみをブレンドすることで、すっきりとした味わいに仕上がっています。
男性的な力強さも感じさせる「ハイニッカ ニューブレンド」は、大麦（モルト）ととうもろこし（グレーン）の絶妙なバランスが堪能できる銘酒です。

■ハイニッカの「Hi」の名前が意味するところ

「ハイニッカ」の「Hi（ハイ）」は1986年（昭和61年）当時、レコードやラジオなどのオーディオ用語として盛んに使われていた「Hi-Fi（ハイファイ）」から取られています。
「ハイニッカ ニューブレンド」にもこの名前が受け継がれており、「ハイファイ」を「ハイハイ」と言いやすくしたものをさらに「ハイ」と呼びやすくしたことが商品名の由来となっています。
「Hi-Fi（ハイファイ）」は「Hi Fidelity」を略したオーディオ用語で、「原音や原画を忠実に再現する」という意味を持つ言葉です。
「ハイハイ」はニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝がそのリズム感を気に入っていたことでも知られていますが、幹部からの反対を受けて最終的に「ハイ」に落ち着いたといわれています。
しかし「ハイファイ」が意味する「高品質の音を忠実に再現する」という意味が、ウイスキー造りに大きな影響を与えたことは想像に難くありません。
「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」の誕生の際にも、この「Hi-Fi（ハイファイ）」精神が息づいていたことでしょう。

■進化を遂げた2級ウイスキーの誕生

竹鶴政孝はウイスキー本場・スコットランドでスコッチ・ウイスキー造りの修業を積み、北海道余市で本場のスコッチ・ウイスキーにも負けない特級ウイスキー造りに励んでいました。
そんな政孝にとってモルトとカフェグレーンにスピリッツを加えざるを得なかった2級ウイスキー造りは、さぞかし悔しい気持ちだったことは想像にあまりあります。
それでも妥協を許さない政孝の性格が高品質の2級ウイスキー「ハイニッカ」を生み出し、「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」へと歴史が引き継がれていきました。
「高品質の音を忠実に再現する」というオーディオ用語のハイファイを、政孝はウイスキー造りに当てはめたとも考えられます。
特級ウイスキー造りにこだわった政孝にとってモルトとカフェグレーンだけを使用した「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」も、こだわり抜いた末に誕生した2級ウイスキーであったことでしょう。
「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」のボトルの表ラベルには「大麦が香りになる 北の厳しい自然の中でより重厚な香りになる とうもろこしがまろやかになる 人の技が香りとまろやかさの絶妙な調和をつくりだす」と書かれており、ラベル中央に白い空白部分を残して「ニューブレンド・ハイニッカは北海道原酒の男性的で力強い風味を大切にしたブレンドです」との言葉で締めくくられています。
確かな品質の原材料を用い、職人が手間暇をかけて熟成させたモルトとカフェグレーンを、マスターブレンダーが丁寧にブレンドしている様子が目に浮かぶようです。
より進化したハイニッカの2級ウイスキーとして、「ハイニッカ （Hi Nikka） ニューブレンド」も多くのニッカファンに愛された銘柄でした。