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ゴールドカラーに煌めく輝きが美しいイチローズモルトのカードジャック・オブ・ハーツ

■レッドオークカスクで造られた珍しいウイスキー

「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」はファーストカスクにホグスヘッド、セカンドカスクにレッドオーク・ヘッズを使用しています。
レッドオークはカスクにはあまり使用されない素材のため、レッドオークカスクでフィニッシュしている「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」は少々珍しい存在です。
北米産の近縁種レッドオークはチローズが少ないため、漏れやすいという難点を抱えています。
そのため貯蔵したウイスキーが漏れやすくなり、樽材に使用されることはほとんどありません。
そんなレッドオーク材に樽で熟成させたウイスキーは非常にレアな逸品で、今後もレッドオークカスクで造られるウイスキーが登場する可能性はかなり低いと考えて良いでしょう。
その点からいっても「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」は希少価値の高い、大変貴重なウイスキーです。
1991年に蒸溜され、2010年にボトリングされた「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」は、ボトリング数329本という少量生産品でした。
カスクストレングス（加水なし）のノンチルフィルター（冷却濾過なし）、ノンカラー（無着色）で、ゴールドカラーの色合いが煌めく美しいウイスキーに仕上がっています。
バタースコッチやキャラメル、みつろうのような香ばしくて甘い香りに、スコッチ・ウイスキー特有のかすかはスモーキーと焼きたてのフランスパンを思わせる香りが絶妙なハーモニーを奏でています。
また味わうごとに少しずつタンニンのビターさも感じられ、イチローズモルトのカードシリーズの中でも逸品と呼ぶにふさわしい銘酒です。

■レッドオークカスクが貯蔵に向かない理由とは

「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」の2ndカスクとして使用されているレッドオークカスクは北米に分布するオークの一種で、ブナ科に分類される衝撃に強い硬い材質となっています。
家具やフローリング、内装用に用いられることが多く、液体を吸収しやすいのが特徴です。
ウイスキーの貯蔵や熟成には一般的にホワイトオークが使用されることが多いですが、これはホワイトオークが液体を吸収しにくいという性質を持っているためです。
しかしレッドオークは液体を吸収しやすいということもあって、ウイスキーの貯蔵に使われることはほとんどないといっても過言ではありません。
その点だけをとって見ても、「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」がいかに希少なウイスキーかがわかるというものです。
ウイスキーは熟成中に水分やアルコールが蒸発し、最終的にボトリングする際の取り分が減ってしまう現象が生じます。
この目減りした分が「天使の取り分」または「天使の分け前」と呼ばれるもので、「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」ではかなりの「天使の取り分」ができたに違いありません。

■レッドオークのチローズとは？

「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」のフィニッシュで使われたレッドオークには、チローズが少ないというのも大きな特徴です。
ホワイトオークなどの広葉樹には縦方向に走る線上の組織「道管」があり、この道管の中にはキラキラと光る物質が詰まっています。
このキラキラ輝く物質が「チローズ」で、レッドオークにはこのチローズが少ないことから液漏れを起こしてしまうのです。
イチローズモルトのカードシリーズにはミズナラの木で作ったミズナラカスクフィニッシュの商品もありますが、このミズナラカスクはレッドオークよりもさらにチローズが少ない材質で知られています。
そのためレッドオークもミズナラカスクもウイスキーの長期熟成には不向きとされ、長期熟成の多くがホワイトオークとなっているのはそのためです。
しかしウイスキーの熟成には不向きであるといわれるカスクも、ベンチャーウイスキーのイチローズモルトカードシリーズで希少価値の高いウイスキーを生み出しています。
あのサントリーの「山崎」もミズナラカスクを使用していることで知られており、卓越した技術力をもってすれば「山崎」や「イチローズモルト カード ジャック・オブ・ハーツ」のように、カスクの素材に左右されることはないのでしょう。