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世界中で最も売れているバーボンウイスキーを作る一族

■バーボンの歴史を語るうえで欠かせない一族
バーボンウイスキーを初めて作ったのは、1789年のエライジャ・クレイグ牧師であるという説もあれば、1783年のエヴァン・ウィリアムスだという説もあります。
しかしながら、現在、世界中で最も売れているバーボンウイスキーは、このどちらでもありません。
1795年にドイツ移民の子としてケンタッキー州でバーボンウイスキーを作り、販売したジェイコブ・ビームが創業した、現在のジムビームです。
その後200年間、7代にわたってビーム一族によってバーボンウイスキーは進化を遂げ続け、現在に至っています。
5代目まではジェイコブ・ビームに連なるビーム家の息子たちが代表を引き継いできましたが、4代目であるジェームズ・ボーリガード・ビームから、新たな血筋が加わります。
1927年に娘のマーガレットがフレデリック・ブッカー・ノーと結婚したためです。
その後5代目はT・ジェレマイア・ビームに引き継がれることになりますが、ジム・ビームが当主となるまでは、会社名は「オールド・タブ」でした。
ジム・ビームが当主を務めていた1920年に禁酒法が施行されたことから、それまでずっとバーボンを作り続けてきたビーム一族に、その歴史の中で唯一バーボンを作らなくなった時期が生まれました。
その間、ジムは鉱業や農業に取り組みますが、バーボン作りに見られる類稀なる才能を発揮することはなく、むしろ自分にはバーボン作りしかないという気持ちを強くしていくことになったのです。

■社名の変更
マーガレットの結婚によりノー一族が加わったビーム家に、1933年、禁酒法終了の朗報が舞い込んできました。
ジムは息子のT・ジェレマイアとともに、閉鎖していた蒸溜所をわずか120日で再開したと言いますから、ジム・ビームという人はバーボン作りのDNAを、祖先からしっかり受け継いでいたと言えるでしょう。
1934年にジムビームバーボンが発売されるや否や、ブームは再燃して会社は軌道に乗り、息を吹き返したのです。
1943年、ジェームズ・B・ビームに敬意を表し、長年使われてきた社名であるオールド・タブはジムビームへと変更されます。
そのわずか5年後にジムは他界しますが、その後は息子のT・ジェレマイア・ビームへとしっかりと引き継がれました。

■ビーム一族からノー一族へ
ジム・ビームの娘のマーガレットが嫁いだことにより、ビーム一族にはノー一族が加わり、共にバーボンウイスキー作りに励むことになります。
そのため、6代目を継いだのは5代目のT・ジェレマイアの直系ではなく、ジム・ビームの曾孫にあたるブッカー・ノーでした。
1960年のことで、ケンタッキー州のボストン工場でマスターディスティラーをしていたブッカー・ノーが正式に6代目となったことから、ボストン工場は現在もブッカー・ノー工場とも呼ばれています。
1965年、ブッカー・ノーはビーム社の記念すべき100万樽目の樽詰めを見守ることになりました。
零れ落ちそうになる涙をぐっとこらえたと言いますから、よほど感無量だったのでしょう。
ブッカー・ノーは、ジムビーム初となる少量生産のクラフトバーボン、ブッカーズを誕生させます。
手作りで手間暇かけて作り、水を加えずにろ過も行わない、昔ながらの製法を守って作った頑固さは、ジム・ビームをはじめとする創業者ジェイコブ・ビームらへの尊敬の念がこもっていたのではないでしょうか。

■ジムビームを継ぐノー一族
その後、7代目を継いだのもノー一族のフレッド・ノーで、ブッカー・ノーの息子であり、フレッドにとってジム・ビームは曾祖父にあたります。
フレッドは曾祖父のジム・ビームとともにケンタッキー州のバーズタウンの家で育ったことから、秘伝のレシピと製法を受け継ぐマスターディスティラーとなり、現在のジムビームの代表でもあります。
代表者の名はノーへと変わったものの、その根底にはしっかりとビーム一族の血が間違いなく流れています。
1973年以来、世界中で一番売れているジムビームブランドの中の最高峰がジムビーム ブラックです。
ジムビーム ブラックラべル 6年は、その中でも特に長期熟成されたプレミアムバーボンで、これを飲めばジムビームの品質の良さが分かると言っても過言ではない逸品です。