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比類なき個性を持つシャンパーニュと呼ばれる理由

■創始者の想いが今も脈々と受け継がれるメゾン
クリュッグは1843年、創始者であるヨーゼフ・クリュッグによって作られたシャンパーニュメゾンで、代々、クリュッグ家において親から子へと伝えられ、現在は6代目当主のオリヴィエ・クリュッグ氏が、創始者の教えをかたくなに守って伝統の味を作り続けています。
クリュッグは、一次発酵に225リットルの原酒しか入らない小さなフレンチオークの樽を使うという伝統的な製造方法を未だに守っているメゾンです。
シャンパーニュ地方にたくさんあるメゾンの多くが、ステンレスタンクを使ってシャンパーニュを作る製造方法に変えていく中、頑固に昔ながらの製法を守っている、いささか頑固なメゾンと言えそうです。
そんな頑固さが生み出すシャンパンは、比類なき個性とか、シャンパンの帝王といった最上級の呼称をほしいままにする、世界でも有名なシャンパンメーカーなのですが、なぜか日本ではあまりなじみがなく、ドン・ペリニヨンやモエ・エ・シャンドンなどに比べて知名度はほとんどゼロに等しい状況でした。
この状況を打開すべく、1990年に6代目当主のオリヴィエ・クリュッグ氏自らが日本にやってきてクリュッグのシャンパーニュを広めて回ったことから、今ではクリュッグのシャンパーニュを愛するクリュギストと呼ばれるファンは、日本にも多くいると思われます。

■伝統的製法だからこそできる芸術のアッサンブラージュ
シャンパーニュやワインを作るうえで、原酒を選んでブレンドすることをアッサンブラージュと言います。
クリュッグでは、第二次世界大戦後からアッサンブラージュで作るようになりますが、伝統製法だからこそできる数多くの原酒を持ち合わせていることから、そのアッサンブラージュはまさに芸術と称されているほどです。
常時250を超える原酒を所持し、1000回にも及ぶテイスティングを経てベストな味わいを生み出すクリュッグのシャンパーニュは、ノン・ヴィンテージと呼ばれる年代を記さない最もベーシックなものの中でも、特別扱いともいえるマルチ・ヴィンテージという呼び方がされることで知られています。
それもそのはず、アッサンブラージュされる原酒はどれもヴィンテージものの原酒で、瓶詰めした後にさらに6年間熟成させるのですから、普通にブレンドして作られたシャンパンとは違うという誇りが、クリュッグのベーシックを特別なものにしていると言えそうです。

■クリュッグのもう一つの顔
芸術とまで称されるアッサンブラージュの技術を持ちながらも、単一品種のブドウから作るシャンパーニュにもこだわってシャンパーニュを作っているところは、クリュッグのもう一つの顔と言えるでしょう。
それが、クリュッグ クロ・デュ・メニルと呼ばれるシャンパーニュで、クロとは壁のことを意味します。
一年間かけて作れる本数はごくわずかなことから、シャンパンの帝王と呼ばれるクリュッグの中でも、超高級クラスに属するシャンパーニュです。
クリュッグ クロ・デュ・メニルを作るには、コート・デ・ブラン地区のメニル・シュール・オジェ村にある、クロで囲まれたわずかな畑で栽培されたシャルドネという品種のブドウだけが使われます。
シャルドネは高級白ワインの原料となるブドウとしておなじみですが、クリュッグ クロ・デュ・メニルもまたシャルドネに限られ、さらには単一の畑、品種、年のシャルドネでなければなりません。
つまり、コート・デ・ブラン地区のメニル・シュール・オジェ村のクロで囲まれた畑で、その年にできたシャルドネだけで作らなければ、クリュッグ クロ・デュ・メニルにはならないのですから、このこだわりようが価値を高めるのは当然と言えます。

■1998年は素晴らしい出来栄え
これだけのこだわりから生まれるクリュッグ クロ・デュ・メニルですが、特にクリュッグ クロ・デュ・メニル1998は、1998年にできたシャルドネが非常に素晴らしいものだったことから、出来上がったシャンパーニュも特別なものとなりました。
最も高価なシャンパンと言われるほどですが、一生に一度は飲んでみたいシャンパーニュであるのは確かです。