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日本のソムリエも認める秀逸なシャンパーニュ

■日本での知名度はほぼゼロ
日本ではシャンパンと言えばドンペリと言われるほど、ドン・ペリニヨンの人気は圧倒的なものがありました。
バブル景気に沸いていたころは、高級クラブなどでシャンパングラスを並べ、シャンパンタワーと呼ばれる上から注いだシャンパンが下のグラスに注がれていくという、なんとも贅沢な余興が行われていたほどです。
バブル景気によってお金持ちとなった人たちが高級クラブに行ったら、ドンペリを頼むのはもはや当然といった風潮さえありました。
バブルが崩壊したのは1991年5月ですが、その少し前の1990年に日本に自社のシャンパーニュを広めようとやってきたのが、クリュッグの6代目当主、オリヴィエ・クリュッグ氏でした。
オリヴィエ氏は、フランスはもちろん、英国やアメリカでは抜群の知名度を誇るシャンパーニュメゾンでありながら、日本では全く知られていないクリュッグのシャンパーニュを知ってもらうために、はるばる来日したのです。
しかも、短期間の滞在で帰るのではなく、2年間にわたって東京にい続けたといいますから、2年もの間当主が不在になったとしても、日本にクリュッグのシャンパーニュを知ってもらいたかったのでしょう。
この滞在のおかげか、それとも事前に勉強してきたのか、オリヴィエ氏の話す日本語は非常に流暢で、しかも大の親日家とあって、彼にとって日本滞在はクリュッグを発展させることに大いに役立ったといえます。

■家族経営ながらすさまじいブランド力を持つメゾン
オリヴィエ氏による普及活動が功を奏したのか、バブル崩壊前に来日したのが良かったのか分かりませんが、シャンパンのことはよく分からないから極めつきのシャンパンをお願いと言われたら、迷わずクリュッグを開けるというソムリエが日本に増えてきました。
実際、オリヴィエ氏がクリュッグのシャンパーニュを知ってもらおうと説いて回ったのは、ワインソムリエでしたし、さらに、ワインが好きなワイン愛好家や、ワインに詳しいジャーナリストといった人たちだったそうで、この選択はオリヴィエ氏が非常に賢い人物であることを物語っているといえるでしょう。
ワインに精通したソムリエなら、クリュッグのシャンパーニュがいかに素晴らしいかが分かるだろうからです。
ソムリエたちがクリュッグのシャンパーニュなら間違いないと考え、お客さんに勧められるようになれたことは、ほかならぬソムリエたちにとっても良いことだったに違いありません。
そのすさまじいまでのブランド力は、ソムリエのお墨付きによって徐々に日本でも知名度を広げていくことになったのです。

■常に在庫を持っておくというクリュッグ
ソムリエを驚かせたのは、クリュッグのシャンパーニュの味だけではありませんでした。
35年経過した古い小さな樽を使って一次発酵を行う手間のかかる作り方を未だに守っていることや、低温で長期間かけて発酵させた中から、できの悪いものは徹底的に取り除いてしまうという点も、ソムリエを大いに驚かせたのです。
さらに6代目オリヴィエ氏によるマーケットコントロールも舌を巻くもので、年間50万本を売り上げるクリュッグでは、不作に備えて6年分に相当する300万本をストックしているといいます。
これは、不作のために満足いくブドウが穫れなかったときはシャンパーニュ作りを行わないという、徹底的に妥協しないシャンパーニュメゾンとしての姿勢と、不作であってもクリュッグのシャンパーニュを求める人に提供し続けるべきという、創始者であるヨーゼフ・クリュッグから代々クリュッグ家に伝えられてきた家訓と言えそうです。
この創始者の教えをずっと守り続けてきた、当主たちによる創始者に対する敬意には頭が下がります。

■こだわりぬいた上質のシャンパーニュ
アッサンブラージュという原酒をブレンドする方法で作られたクリュッグのベースとなるシャンパーニュは、芸術や交響曲などと称されるほどの素晴らしさです。
また、単一品種を使って作るクリュッグクロ・デュ・メニルは、シャルドネの美味しさが存分に味わえる最高級のシャンパーニュとなっています。
クリュッグクロ・デュ・メニル2003は、美しいイエローゴールドの色合いと、香り豊かなアロマ、さらに柑橘系の味わいとレモンの余韻が絶妙な仕上がりのシャンパーニュです。
ソムリエが選んできたのがクリュッグ クロ・デュ・メニル 2003だとしたら、確かな目利きのできるソムリエと言えそうです。