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特別なお酒として歴史を綴ってきたシャンパーニュ

■シャンパーニュと洗礼
ワインは中世の時代から修道院において、修道士が作るものでした。
修道院にはブドウを栽培するための畑が作られ、修道士がブドウを育て、収穫し、発酵させてワインを作っていたのです。
キリスト教においてワインは聖なる水であり、イエスによって与えられるものであったため、ミサには欠かせないものでした。
シャンパーニュはそんな修道院で樽に保存していたワインが泡立ってしまうという悩みから生まれた、偶然の産物とされています。
ワイン作りを任されていた修道士にとって、大事なミサで使うワインが泡立ってしまうのは大きな悩みの種でしたが、これを瓶詰めにしたところ、イギリスで大人気となり、いつしかシャンパーニュ地方の泡立ったワインは特別なお酒という認識で捉えられるようになります。
その結果、シャンパーニュ地方で作られた発泡性ワインだけを、特別にシャンパーニュと呼ぶようになったと言いますから、これぞ結果オーライのお手本のような気がします。
そんなシャンパーニュは1790に起こったフランス革命の際に、革命派として戦う人々を勇気づける唯一のお酒だったと言います。
ワインではなく、発泡性を持つシャンパーニュの特別感や高揚感が、戦う人々に勇気を与えたのかもしれません。
12世紀にはすでにシャンパーニュはフランスはもちろん、国境を越えて広まっていたのです。

■シャンパーニュ地方のメゾン
シャンパーニュ地方でシャンパンを作っている人たちのことを、シャンパーニュメゾンと呼びます。
メゾンとはフランス語で家や建物を意味しますが、文字通り家族だけの小規模栽培でシャンパーニュ作りをしているところもあれば、大規模な畑を持ち、ワイナリーとしてワインを作っていたのが、シャンパーニュに切り替えた、あるいはシャンパーニュもワインも作っているというメゾンもあります。
作り始めた時期も、それぞれのメゾンで異なりますし、当然のことながら出来栄えや味も違ってきます。
メゾンそれぞれでこだわりがあり、独自のシャンパーニュ作りを行っているからです。
そんなシャンパーニュで帝王と呼ばれるメゾンが、家族経営を行っているクリュッグです。
クリュッグのシャンパーニュは世界中の多くの人を虜にしており、英国王室が愛するシャンパーニュとして知られています。
また、ココ・シャネルやマリア・カラス、アーネスト・ヘミングウェイといった著名人たちもクリュッグのシャンパーニュを愛する、クリュギストと呼ばれる人たちです。
12世紀にはすでに飲まれていたシャンパーニュをクリュッグが作り始めたのは1843年のことで、シャンパーニュメゾンとしての歴史は175年と比較的新しいメゾンと言えるでしょう。

■孤高のこだわりが帝王と呼ばせる最高級品質を生み出す
創始者はドイツ移民のヨーゼフ・クリュッグで、彼が作るシャンパーニュはすでに数多く生まれていたシャンパーニュの中にあって、最高級と評されました。
そこにはヨーゼフ・クリュッグがシャンパーニュ作りにおいてこだわりぬいた哲学があり、その出来栄えに納得できないときは、たとえシャンパーニュ作りのために使ったお金が回収できなくても、絶対に売らないという徹底ぶりでした。
ヨーゼフ・クリュッグのシャンパーニュ作りにおける美学とも言えますし、職人気質で頑固一徹な人だったとも言えます。
とはいえ、クリュッグの歴代当主は親から子へと引き継がれ、現在の6代目当主であるオリヴィエ氏に至るまで、創始者のヨーゼフ・クリュッグがこだわった伝統的なシャンパーニュ作りの製法を未だに守り伝えているところが、クリュッグをシャンパーニュの帝王と呼びながらも孤高と表現する理由と言えそうです。

■最高級品質の単一ヴィンテージシャンパーニュ
クリュッグはアッサンブラージュという原酒のブレンド技術が非常に素晴らしいメゾンですが、単一品種で作るシャンパーニュ作りにも決して妥協しません。
シャルドネ100％で作るクリュッグ クロ・デュ・メニル2004は、非常にブドウ作りが大変だった辛抱の年に収穫されたシャルドネで作られましたが、そんな中でも最高のポテンシャルを引き出せたのは、クリュッグだからこそでしょう。