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大山の湧き水が支えるウイスキー

■明治創業の酒造

松井酒造合名会社が創業したのは明治43年(1910年)3月です。
当時日本は洋酒を国内に広げるヒントを得るために、各社が海外からワインやウィスキーを購入していた時代です。
そんな中、松井酒造は鳥取県倉吉市に創業し、日本初芋焼酎の製造と販売を国内でスタートしたのが始まりです。
長年ウィスキーの研究に力を注いで来た酒造であり、2017年からは海外でも倉吉ウィスキーの販売を開始しました。
モルトウィスキーの本場であるスコットランド北部の厳選された原酒と国内蒸溜の原酒をヴァッティングし、大山山系の伏流水で仕上げた倉吉には、土地が誇る大自然の恵みが溶け込んでいます。
現在も鳥取県倉吉市に本社と蒸溜所を構え、ウィスキーや日本酒、焼酎類などの製造を行っています。

■日本のウィスキーの歴史

日本にウィスキーが入ってきたのは1853年のことです。
誰もが知るアメリカのペリー総督が艦隊を引き連れて来航した年であり、そこから20年足らずの1871年にはウィスキーが日本に初めて正式輸入された記録があります。
ただし、このとき仕入れたのは薬屋で、そこから消費が伸びるようなことはありませんでした。
明治維新で諸外国の文化が入り、様々な物珍しいものに人々が飛びつき始めた明治末期になっても、ウィスキーをはじめとする洋酒は市場の1%にも及ばない売れ行きだったのです。
1923年、関東大震災があり、奇しくもその年が日本初のウィスキー蒸溜所の建設が始まった年と重なります。
技術が進歩し、今では世界5大ウィスキーにジャパニーズウィスキーが選ばれるまでになりましたが、それぞれに特徴があり、同じように見えても個性が一つひとつ違うウィスキーの世界は奥深いといます。

■個性を引き出すブレンデッドウイスキー

ウィスキーの長い歴史は主にスコットランドにありますが、いわゆるスコッチウィスキーの歴史で重要なのはブレンデッドウイスキーです。
誕生したのは1831年、近代的な連続式蒸溜機が発明されるに合わせ、時代はブレンデッドに突入します。
原料はトウモロコシなどに切り替えられ、大量生産が可能なグレーンウィスキーが誕生しました。
そしてこのグレーンウィスキーに個性をプラスするために編み出されたのが、モルトウィスキーを混ぜるブレンド手法です。
このグレーンウィスキーとモルトウィスキーのブレンドは、それまでのウィスキーのイメージをガラリと変えました。
穏やかな個性と強い個性とが柔らかく調和し、口当たりがまろやかな洗練された風味に生まれ変わったのです。
商品クオリティーの均一化が成し遂げられたのも、ブレンデッドウイスキーが生まれたからこそです。
1880年代から世界にはブレンデッドの名品が続々と送り出され、現在のウィスキー市場を作ったといわれています。

■マツイ ピュアモルトウィスキー 倉吉8年

ピュアモルトウィスキーは、異なるシングルモルト原酒をブレンドする手法として確立しました。
マツイ ピュアモルトウィスキー 倉吉8年は、大山を臨む鳥取県の中心に位置する倉吉市の地下水を使ったピュアモルトウィスキーです。
原料はモルトのみでグレーンを使用しないものをピュアモルトと呼びますが、複数の蒸溜所のモルトを組み合わせたものをヴァッテドモルトウイスキーと呼びます。
いずれにしても100％モルトを使ったウィスキーであり、きれいな味わいが特徴です。
松井酒造の倉吉蒸溜所は、上質な水のある大山を臨む地にあります。
語源を「暮らしよし」とし、日本海側の激しい寒暖差を利用した早い熟成で仕上げる大自然のウィスキーです。
少数人数のスタッフで始めた蒸溜所ですが、多種多様な樽を揃え、熟成プロセスを大切に多彩な原酒を生産しています。
美味しいと感じる味わいは飲む人一人ひとり千差万別ですが、柔らかくまろやかな倉吉の水に包み込まれたウィスキーを万人に愛されるウィスキーにするため、長年培った酒造りの技術を活かして製造した1本です。