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ホワイトオークが醸し出す甘味とウッディな香りが楽しめる逸品

■ラフロイグ初心者にもおすすめの一本

「ラフロイグ QAカスク」は個性の強いウイスキーとして知られるアイラ島のラフロイグ蒸溜所が手掛けたウイスキーです。
独特のヨード香と潮の香りが強烈なラフロイグは、この味わいがたまらなく好きという熱烈なファンが多いウイスキーでもあります。
しかしウイスキー愛飲家でもラフロイグは苦手という人もいるなど、好きか嫌いかの両極端に分かれるウイスキーとなっています。
そんな中で「ラフロイグ QAカスク」はピート（泥炭）ならではのスモーキーな香りと味わいが抑えられた仕上がりとなっているため、ラフロイグ初心者にもおすすめできる一本です。
銘柄名のQA（キューエー）とはラテン語の「クエルカス・アルバ（Quercus Alba）」を略したもので、樽の素材として使われるアメリカンホワイトオークを意味しています。
そのアメリカンホワイトオークの樽を熟成用に使用し、造られたことからQAカスクと命名されました。
「ラフロイグ QAカスク」はバーボン樽で原酒をバッティングし、さらにアメリカンオークの新樽で後熟しています。
新しい樽が放つ特有のウッディな香りに加えて、アメリカンホワイトオークならではのまろやかな甘さも楽しめる逸品です。

■ラフロイグらしさを生み出す素材たち

潮の香りとピートの香りが格段に際立っているのがラフロイグの魅力ですが、その秘密はウイスキー造りに使用する素材にありました。
ラフロイグ蒸溜所では仕込み水（プロセスウォーター）にピートの層を浸透してきた水を使用しており、この水がピート香をさらに際立たせる役割を果たします。
また大麦を麦芽乾燥させるときに必須のピート（泥炭）は、ラフロイグ蒸溜所専用のピートボグ（採掘場）から掘り出したものを使っています。
このピートボグはアイラ空港近くにある湿原で、荒れ野や湿原に生息するツツジ科カルーナ族のヘザーと苔が密生している場所です。
さらにこの湿原は海藻も含んでいるため、大変水分量の多いピート（泥炭）が採掘できます。
ちなみにヘザーは「ヴィーナスの聖なる捧げもの」とされ、古くはワイン造りにも使われていました。
ヒース（エリカ）とよく混同される植物ですが、ヒースからはエールが造られることでも知られています。
アイラ島では新たにオリジナルのエールを造り出しており、毎年行われるアイラ島のアイラフェスにおいてウイスキーやビールと共に販売されます。
ウイスキーの出来栄えを最も左右する大麦はオックスブリッジを使用し、ラフロイグ蒸溜所近くにあるポートエレン製麦工場にて85％分の麦芽製造を委託しています。
あとの残りの15％はラフロイグ蒸溜所内で製麦しているのが特徴です。

■職人が手間暇かけて行う蒸溜が旨味を引き出す

ラフロイグ蒸溜所では麦芽製造を委託しなかった15％の大麦を床一面に広げ、職人が8時間おきにすき返すという作業を繰り返します。
この工程を経ることで大麦の発芽を促すとともに、ほど良い発芽を実現させることが可能となります。
そしてキルン（麦芽乾燥塔）の下にある乾燥室で発芽を止めますが、この乾燥にはおよそ30時間もの長い時間を必要とします。
ピートをたっぷり含んだ水分のある状態の大麦を12時間かけてラフロイグ専用ピートを焚きながら香り付けをし、その後はピートと共にアイラ島に吹き込む潮風を送り込んで18時間かけて燻煙されます。
こうすることによって大麦に独特の甘味が加味された、まさにラフロイグオリジナルの麦芽が出来上がります。
スコッチ・ウイスキーではピートでの乾燥レベルを化学で使用する標準的単位のフェノール値（ppm）で表しています。
通常は25ppmが中位とされ、40～50ppmとなるとかなりのピートで乾燥されたと判断されます。
このレベルでの乾燥が進んだ大麦はスモーキーな香りが強いウイスキーが出来上がりますが、ラフロイグの麦芽はこの基準を満たす40～45ppmのフェノール値を含んでいるのが特徴です。