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手間暇かけた焼酎造りがマニアを多く持っている理由

■芋焼酎の名蔵元の一つ
鹿児島県霧島市にある霧島連峰の山奥にある小さな山奥の蔵に、芋焼酎好きなら誰もが一度はその名を聞いたことがあると言っても過言ではない「万膳酒造」があります。
平成11年、1999年に霧島連峰の山奥を新たな芋焼酎造りの場所に選び、30年ぶりに焼酎造りを再開した万膳酒造は、大正11年の創業からバブル期を経てさまざまな歴史を刻みながら焼酎造りを続けてきた、芋焼酎の消費および生産量日本一の鹿児島県にある名蔵元の一つです。
現在の万膳酒造は、名杜氏と呼ばれる黒瀬杜氏のもと、人の手によって丁寧に焼酎造りを行っています。

原材料にも徹底的にこだわり、霧島連峰の山奥に蔵を構えた一番の理由である霧島連峰からの良質の湧き水、霧島列火水(きりしまれっかすい)を使い、芋は芋焼酎に最も適しているとされる黄金千貫を使っています。
麹は銘柄によって使い分けており、万膳は黒麹で仕込むのが特徴です。
さらに蒸留酒というものは通常、ろ過して造るのが基本であるところ、万膳はろ過を行っていません。
焼酎造りの過程においては、ろ過によって不純物の油分を取り除き、独特のえぐみをなくしていくわけですが、万膳ではこれをしていないのです。

それなのになぜおいしい味わいになるのかという疑問が湧きますが、実は人の手によってろ過作業が行われています。
かめ壺に入れて貯蔵し、熟成させる間に攪拌作業を行い、こまめに浮いてきた油分をすくっているのです。
この人の手による作業は、杜氏だからこそできる職人の技であり、この根気のいる作業をあえて行う焼酎造りを再開したことで、万膳酒造はマニアが絶賛する焼酎を造り出しています。

■万膳酒造が持つマニア垂涎のもう一つの理由
徹底的に原料にこだわり、さらには人の手による手間暇かけた貯蔵・熟成を大切にしている万膳酒造が造る芋焼酎は、十分に焼酎好きには飲んでみたい焼酎ですが、まだほかにもマニアを惹きつけてやまない理由があります。
それが、万膳酒造が使っている蒸留器が、昔ながらの木桶蒸留器であるということです。
万膳酒造が使っている木桶蒸留器は、1回の蒸留で500リットルしか造れないため、大量生産には向いていません。
この蒸留量の少なさが、かめ壺に入れて貯蔵し、熟成させるまでの間に人の手でのろ過作業を実現しているわけですが、必然的に出来上がる焼酎の数は少なくなります。

どんなお酒にも当てはまりますが、良質な味わいの上に生産本数が少ないとなると希少価値は一気に高まります。
口コミが口コミを呼んで広まり、万膳酒造の芋焼酎は一度は飲んでみたい芋焼酎として、いまや不動の地位を確立しています。

■手間暇かけた酒造りだからこそ人気が出る
かつては地酒と呼ばれ、ワンランク下に位置づけられていた地方から、続々と一度は飲んでみたい日本酒が多く生まれています。
洋酒ではハイボールブームによってウイスキーが売れに売れています。
これら人気を集めて品薄になる酒の共通点は、いずれも手間暇かけて造られていることに加えて、本数が少ないという希少価値を持っているという点です。

万膳酒造は一時期焼酎造りをやめていましたが、30年ぶりの再開時に選んだ造り方は、昔ながらの手間暇のかかる大量生産ができないものでした。
手間暇がかかった分だけおいしい焼酎になり、飲んだ人からその評判が伝わっていくというのは、IT技術がなかった時代も、SNSであっという間に情報が拡散されるいまの時代でも、なんら変わりません。

■萬膳のおいしさが堪能できる逸品
「万膳 流鶯 黒麹仕込み 芋焼酎 グリーンボトル」は、流鶯(るおう)にのみ使われる黒麹が持つコクの深さと、骨太な旨みを存分に味わえる芋焼酎です。
麹米には秋田県三種町産のひとめぼれを、仕込み水にはもちろん霧島列火水が使われており、丁寧な手作業で贅沢に醸し上げました。
滑らかな口当たりと、万膳酒造ならではの木樽蒸留によって生み出される醇良な味わいに魅了されることでしょう。