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■焼酎界を代表する逸品
日本国内での焼酎人気は年々高まってきていますが、焼酎好きでない人にも知れ渡る銘酒として挙げられるのが魔王です。
芋焼酎を代表する銘柄と言っても過言ではなく、その存在は国内はもとより、海外にも広く知れ渡っています。
魔王の名を一躍有名にしたのは、3M(スリーエム)と呼ばれる3つの芋焼酎の存在があることをご存知の方も多いでしょう。
3Mの3種類とは「森伊蔵」、「魔王」そして「村尾」の3つで、全てが厳選されたサツマイモを使用して醸造された芋焼酎です。
それぞれの頭文字にMの文字がつくことから、幻のプレミアム焼酎の3品を3Mと称するようになりました。
この3種類の焼酎は、それぞれが共に鹿児島県に拠点をおく醸造会社にて造られています。
「森伊蔵」は鹿児島県いちき串木野市に拠点をおく濱田酒造、「村尾」は鹿児島県薩摩川内市に酒蔵を構える村尾酒造、そして「魔王」は鹿児島県錦江町の焼酎の蔵元・白玉醸造合名会社が持つ銘酒です。
この3つの芋焼酎は市場で流通している数が極めて少なく、目にすることが稀なプレミアム銘柄として焼酎愛飲家の間では大変有名になっています。
コレクターの中には海外の著名人も多くいますが、その誰もが手に入れることに苦心しているのです。
その中でも魔王の人気は特に高く、「幻の焼酎」と呼ばれ、探し求める人が今も後を絶ちません。

■魔王を生み出した老舗の醸造会社
魔王を醸造しているのは、鹿児島県の錦江町に蔵を構える白玉醸造合名会社です。
焼酎造りの蔵元として100年以上の歴史を持ち、これまで数々の銘柄の焼酎を輩出してきました。
白玉醸造を代表する銘柄は白玉の露で、この蔵元のレギュラー的焼酎の役割を果たしています。
他にも天誅や元老院、梅酒があり、さらに幻の逸品魔王を要するまさに焼酎造りのパイオニアとも言える存在です。
白玉醸造の現在の社長である玉利誠章（たまりまさあき）氏は、若者のお酒離れを常日頃から危惧していました。
そこで、約20年前に焼酎業界の今後を見据えて造ったのが魔王だったのです。
減圧蒸留で醸造されて出来上がった芋焼酎につけられた「魔王」という名前は、発売された当時大変な驚きを持って受け止められました。
しかし、その後魔王に類似した名前の焼酎が数多く出回り、そのネーミングの斬新さと奇抜さが改めて浮き彫りになったのです。
そして焼酎醸造界はもちろん、焼酎ファンの間で魔王イコール白玉醸造という名前が定着しました。
近年では、芋焼酎と並んで人気のある米焼酎と麦焼酎ですが、白玉醸造が創業した当時は、鹿児島県内で米焼酎と麦焼酎を販売目的として製造する蔵元はほとんどありませんでした。
白玉醸造が所有する銘柄の元老院は米焼酎で、売れる見込みがほとんどなかった中で製造された経緯からみても、醸造に対する非凡な姿勢が垣間見えるのです。

■需要に供給が追いつかない魔王の人気
芋焼酎として不動の人気を確立した魔王は、今や需要に対して供給が追い付かないほどの銘柄となっています。
そのため、市場での販売価格は定価の3倍にも跳ね上がっているのです。
それでも手に入れたいのに入らない人が大勢おり、それほどまでに人々を魅了する魔王の魅力とは一体どこにあるのでしょうか。
芋焼酎には独特の芋臭さがあり、その香りを敬遠する人も少なくありません。
ところが魔王には、その芋焼酎にありがちな芋の臭みがないのが大きな特徴です。
むしろフルーティーな香りが立ち上り、冷やで飲めば大吟醸の日本酒と言っても分からないほどの深い味わいとなっています。
味わいはとてもまろやかで、口に含んだ時にサツマイモの甘さが柔らかく広がります。
口当たりが優しく、喉を通る時の喉越しが良いため、焼酎とは思えないほど軽くいただけるのは驚きです。
魔王はこれまで飲みにくいお酒として焼酎を避けていた人や、女性たちに多くの支持を受けています。
魔王の登場によって、芋焼酎が持つイメージと焼酎全般における評価が一気に覆されました。
魔王はその名のごとく、今も焼酎界に君臨する偉大な存在なのです。