お酒買取なら大阪のネオプライス

軍神マルスを掲げた「西の雄」

■ジャパニーズウィスキーの創生

マルスウィスキーの歴史を語ることは、日本のウィスキー創生について語ることと同義です。
このお酒を造っているのは本坊酒造株式会社、今でこそ9つもの蔵や蒸溜所を持つ一大企業ですが、もとは鹿児島で焼酎を作っていた小さな酒造でした。
本坊酒造がウィスキーの製造免許を取得したのは1949年、しかしながらその先11年間は、他の製造者の生産したモルトとグレーンをブレンドするのみの業務でした。
本格的に自社のウィスキー生産を開始したのは1960年、山梨に蒸溜所を建設してからのことです。
そしてその蒸溜所の設計を担い、指導にあたった人物が岩井喜一郎氏でした。
岩井氏といえば、ジャパニーズウィスキーの始祖として名を連ねる重鎮です。
多くの人が知る、かの竹鶴政孝氏の上司であった人物であり、竹鶴氏が留学先のスコットランドから持ち帰った有名な「竹鶴レポート」をずっと保管していた人物でもあります。
岩井氏は摂津酒造で竹鶴氏の上司として指導にあたりましたが、1939年に摂津酒造を退任、1945年に本坊酒造の顧問に就任しました。
本坊酒造の本坊蔵吉氏の恩師でもあった岩井氏は、洋酒生産の拠点として山梨にワインとウィスキーの製造拠点を作り、竹鶴氏のレポートをもとにウィスキー工場の設計と指導を行ったのです。
岩井氏の死後、ウィスキー作の地は中央アルプス山麓の長野県上伊那郡に移りますが、ここに竣工したマルス信州蒸溜所の礎を築いたのは、紛れもなく岩井氏です。
マルスウィスキーの誕生に尽力した岩井氏の功績が、ジャパニーズウィスキーの歴史を築いたことに間違いはないでしょう。

■地ウィスキーブームの先駆けに

マルスウィスキー自体の歴史は戦後間もない1949年から始まりますが、マルス信州蒸溜所は1985年に竣工しました。
ここで理想通りの本格的なウィスキー作が始まるのですが、日本でも1955年ころからウィスキーが定着しはじめ、1980年代には「地ウィスキー」ブームが起こります。
小さな酒造でも個性豊かなオリジナルのウィスキー作が進められるようになり、徐々にジャパニーズウィスキーの基礎が固められていくのですが、この地ウィスキーブームの火付け役もまたマルスウィスキーでした。
マルスウィスキーは「西の雄」と呼び声も高く、繊細な日本人の嗜好に合致するきれいな味わいのウィスキーとして広く愛されるようになります。
これはまさにスコッチウィスキーを手本とし、それを超えるジャパニーズウィスキー作を目指した竹鶴氏と岩井氏の思いが受け継がれた証でしょう。
ただひたすらに正統なウィスキー作に情熱を注ぎ、それを幻の逸品として実現したマルスウィスキーがそのブランドを確立した瞬間です。
現在では世界5大ウィスキーの1つに数えられるまでになりましたが、その陰には連綿と受け継がれてきた技術者の情熱があるのです。

■星のシンボルに恥じないウィスキーを

本坊酒造は創業当初から、星をシンボライズしてきました。
なぜ本坊酒造でマルスウィスキーなのか、そのネーミングに興味を惹かれた人も多いでしょう。
マルスという名は星の中でも軍神、そして農耕の神でもある火星のマルス（マーズ）にちなみ、名付けられたといいます。
赤く強く輝く火星のマルス、その名に恥じない地ウィスキーの星として時代を牽引したウィスキーです。
マルス信州蒸溜所は、日本の風土を活かしたウィスキー作を実現するために建造されました。
標高798mの冷涼で霧深い土地、3,000m級の山々が蓄えた天然の水、これらをジャパニーズウィスキーの黎明期から受け継いできた技術で磨き、ボトリングしたものがマルスウィスキーです。
マルスウィスキーは、ワールド・ウィスキー・アワード（WWA）やアイコンズ・オブ・ウィスキー（IOW）など世界の有名ウィスキーコンテストで高い評価を獲得しています。
まさに世界が認めたクラフトウィスキー、ジャパニーズウィスキーの代表銘柄となったのです。

■「西の雄」マルスウィスキー エクストラ 1800ml

マルスウィスキー エクストラは、マルスウィスキーのロングセラー商品です。
今なお変わらずウィスキー通から深く愛され続けるこのウィスキーは、そこにしかない独自のブレンドと佇まいで歴史を感じさせてくれるノスタルジックな逸品です。
1800ml瓶といえば一升瓶、まさか日本の一升瓶の中にこんなにも繊細で楽しいブレンデッドウイスキーが詰められているとは、おそらく若い世代にとっては驚きなのではないでしょうか。
味わいはライトでマイルド、思わず手に取ってしまう1本です。