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フランス聖霊騎士団に授けられた勲章を掲げたコニャック

■最も美しき清流のほとりに生まれたメゾン

マーテル社は、コニャック地方にあるシャラント川に面した地にあります。
シャラント川はかつてアンリ4世が国で最も美しい清流であると賞賛しましたが、コニャック地方は2012年にフランスの文化通信省から「芸術と歴史の街」の称号を与えられた地区です。
現在コニャックメゾンの大手が軒を連ねる地域ですが、その中でも最も面積の狭いボルドリー地域の60%をも占めているのが、マーテル社です。
ボルドリー地域で獲れる最も希少価値の高いぶどう、それを原料にじっくりとオーク樽で熟成させて作るのが、マーテルのコニャックなのです。
マーテルの複雑でエレガントな味わいはボルドリ原酒を贅沢に使用できるからだといわれますが、マーテルがこの地にメゾンを開いたのは1715年のことです。
創業者はジャン・マーテルという人物ですが、ジャージーから来た若い商人はこの地で貿易業をはじめ、ついにはボルドリー地域のぶどうとトロンセのオーク樽から絶妙なコニャックを生み出しました。
トロンセの森から獲れる木材を使った樽は、現在でもコニャックやワインを熟成させる樽として使用されています。
オークはヨーロッパでキングオブフォレストと呼ばれ、非常に尊い木材であることが分かるでしょう。
ジャン・マーテルはここでなめらかで味わい深いコニャックを生み出すことに成功し、1715年の死後にはその製法を息子や孫たちが継承し、現在まで連綿と伝承し続けて来ました。
今もマーテルは世襲制となっており、海外でブランドを確立した今も、真摯にコニャックを作り続けています。

■海外展開で躍進

マーテルのコニャックが海外で広く愛されるようになったのは1800年代に入ってからです。
1814年にはイギリスで最も売れたコニャックとなり、1831年にはメゾン最初のVSOPが誕生しました。
そのころから日本を含むアジア市場にも広く輸出されるようになり、そのブランドは確立されていきます。
マーテルのラベルには、マーテルと言葉の響きが似ている「つばめ」の天翔ける姿が描かれていますが、まさに颯爽したスピードで軽やかに世界を駆け抜けていくブランドとなったのです。
現在では5大コニャックとして名を馳せる大企業の一つですが、その中でも最も古い歴史を持つのがマーテルです。
シャラント川のほとりで最高級コニャックを造り出した創始者であり、今もかたくなに伝統を守り続ける真摯な職人といるでしょう。

■奇跡の香りを持つマーテル コルドンブルー

マーテルは素晴らしいコニャックを世に送り出していますが、その中でも誉れ高いのがマーテル コルドンブルーです。
コルドンブルーが生まれたのは1912年、今では伝説とまで称される素晴らしい出来栄えのコニャックです。
マーテルではブレンドは世襲制のチーフ・ブレンダーが行うこととなっていますが、その芸術性がいかんなく発揮されたのがこの1本といえるでしょう。
酒庫に眠る樽の中からこれと選んだ熟成の原酒を選び出し、高い気品を引き出す匠の技がマーテルの真骨頂です。
マーテル コルドンブルーは、ボルドリ原酒を30年以上熟成させたものがメインとなり、華やかで落ちつきのある魅惑の香りを湛えます。
飲む香水とまでいわれるコニャックですが、その高貴な香りは飲み干したグラスからも十分に香るほど魅惑的で、一口でも口にした人は虜になるともいわれています。
コルドンブルーはフランス語でブルーリボン、その昔フランス聖霊騎士団に授けられた勲章を意味します。
その勲章に違わない素晴らしい誉れを持つ逸品であることは間違いないでしょう。

■マーテル コルドンブルー 旧ボトル

マーテル コルドンブルーは流通年代でラベルやボトルが異なり、様々な種類が存在します。
現在フラッグシップとされているものは1912年に初めて世に出たボトルであり、当時コニャックに名を冠する習慣のなかった時代に、マーテルがいち早く「勲章」を授けた形になります。
その披露もモナコの5ツ星ホテル「オテル・ド・パリ」という舞台であり、まさに華々しいデビューでした。
セレブが愛してやまないその存在は、時代を超えて今も色褪せることなく支持され続けています。