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若い世代がけん引する日本酒人気

■ 落ち込んだ日本酒人気の背景にあったもの
高度経済成長期、日本酒はまさに飛ぶように売れました。
ただし、その当時に飲まれていた日本酒は、誰もが一生懸命になって働き、1日を終えて晩酌の時に、いわゆる酔うために飲む安い酒でした。
誰もが中流の生活を目標に、明日はもっと良くなると信じて仕事を頑張っていた時代に、しっかり眠るという目的から飲んでいた酒だったとも言えます。
そんな日本酒は高度経済成長期を終え、経済が成熟期に入るにつれて売れなくなっていきます。
人々がある程度富裕になったことで、洋酒人気が高まったからです。
特に多くの人が憧れたのが、水割りでした。
行きつけのバーを持ち、そこにボトルキープをすることが、成功した人が持つステイタスと考えられるようになったからです。
それまで日本酒を飲んでいた40代以上のサラリーマン世代が、こぞって水割りを飲むことを目標にしたために、日本酒の販売量は落ち込んでいきます。

■ 決定的なダメージはバブル到来
その後も日本酒人気が復活する兆しは見えず、日本はバブル景気に沸きます。
このバブルによって、日本酒は決定的なダメージを受けてしまうのです。
その理由は、高度経済成長期以後の水割りへの憧れをさらに超える洋酒ブームが巻き起こったからでした。
高級ワインやシャンパン、ウイスキーにブランデーといった洋酒全般がおしゃれだとして爆発的人気となり、一方の日本酒はおじさんが飲む酒としてダサイというイメージで語られるようになったのです。
日本酒好きは肩身の狭い思いをし、時付き合いで好きな日本酒をあきらめて洋酒を飲む人もいたほどで、バブルによって日本酒の生産および販売量はかつてないほどに落ち込んでいきました。

■ 日本酒人気の復活
こうした日本酒の販売量の落ち込みは、東京や大阪などの大都市で顕著だったのが特徴で、地方においては特に変わりなく日本酒が飲まれていたことは注目すべきところでしょう。
華やかな大都市では、おしゃれであるとかダサイといった理由で好まれるお酒の種類が変わっていたのに対し、地方では昔からその地で酒造りをしてきて、地元の人たちにとってお酒と言えばこれというお酒が決まっていたため、ブームに左右されることはほとんどなかったからです。
酒造会社も、地元の人たちに提供するだけの酒を造れればそれでいいと考えていたため、はやりすたりとは無縁にそれぞれの酒蔵の味を守り続けてこられたことが、現在の日本酒人気の復活につながったと言えるでしょう。
石川県白山市にある菊姫合資会社も、お酒のブームに左右されることなく449年もの長きにわたって造り続けられてきた酒蔵であり、時代が生み出すムーブメントに乗ることなど、微塵も考えていなかったのではないでしょうか。

■ 若い世代がけん引する日本酒人気
バブル期にお酒に対しておしゃれだとかダサイとか言った区別を付けていた若い世代は、今や中年となりました。
では、現在の若い世代は日本酒を相変わらずダサイと思っているかと言うとそんなことはありません。
若い世代が日本中にその地方でしか飲めないおいしいお酒、いわゆる地酒があることに気づき、若者ならではの素早い情報発信によって、現在の日本酒人気を生み出し、けん引しているのです。
世界に向けての発信も容易になったことから、今やSAKEで通用するようになった日本酒の世界的ブレイクは、若い世代の功績によるところが大きいのは間違いないと言えます。

■ 若い世代も注目している酒造会社
自家精米できないくらいなら酒を造るなという、いささか乱暴とも思える家訓を守り続けてきた菊姫の商品ラインナップは、力強さの中に上品な旨味、そして繊細な質感を受けさせる濃醇な味わいになっているのが特徴です。
中でも菊姫純米酒先一杯（まずいっぱい）は、旨口にありがちな重さがなく、軽やかで飲みやすい純米酒のため、日本酒を飲み慣れていない人にもおすすめです。
炊き立てご飯のような香ばしさが感じられるところに、米に強いこだわりを持ってきた菊姫の自信が伝わってきます。