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宮城峡蒸溜所に対するこだわり

■ニッカウヰスキーといえば余市
NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」は、マッサンを愛する主人公エリーの人生を描いたドラマで、元になった人物がニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝とその妻・リタであったことがわかり、大ヒットしました。
ドラマの大成功から、ニッカウヰスキーは余市蒸溜所のイメージがすっかり定着したものの、実際にはニッカウヰスキーには2つの蒸溜所があります。
余市蒸溜所のほかにもうひとつあるのが、宮城県にある宮城峡蒸溜所です。
仙台にあるため、ニッカ仙台工場とも呼ばれています。
余市蒸溜所は標高約1.5m、対する宮城峡蒸溜所は標高約235mと、圧倒的に余市の方が標高が高く、竹鶴政孝がスコッチウイスキーの理想の地を見つけたと大喜びした地が、寒さ厳しい余市であったのも納得です。
とはいえ、宮城峡も寒さでは引けを取らないことから、なぜ竹鶴政孝は宮城峡を第二の蒸溜所に選んだのかが気になります。

■政孝が選んだ理由
1971年に洋酒の完全自由化をはかった政府によって、海外からのウイスキーの輸入量が増大し、ウイスキー事業はより激しい競争に見舞われます。
さらに、団塊の世代がお酒を飲める年齢に達したことと、高度経済成長で日本が一気に総中流社会として発展したことと、宮城峡蒸溜所は大いに関係しています。
政孝は、自らが苦心して軌道に乗せた余市蒸溜所を竹鶴威に委ね、自らニッカウヰスキーによってふさわしいウイスキーづくりの地を探し始めました。
余市よりも南にある場所で、水がきれいなところという条件から選ばれたのが、宮城峡だったのです。
需要が伸びるウイスキー市場において生き残りを目指し、会社存続を確実にするためにも、余市蒸溜所だけではいけないと考えたのが、竹鶴政孝自身が自ら足を運び、次なる蒸溜所として宮城峡に第二のニッカウヰスキー工場を立ち上げることにした一番の理由でした。

■ウイスキーへのこだわりが再燃
もともとスコットランドで単身ウイスキーづくりを学んできた政孝だっただけに、第二のニッカウヰスキー蒸溜所を建設するという計画は、非常に心躍るものだったと考えられます。
宮城峡蒸溜所の近くには新川と呼ばれる非常にきれいな水が流れる川があり、まだ建設地の候補を探していた政孝は、新川の美しい水に目を留めるなり、ニッカウヰスキー自慢のウイスキー、ブラックニッカを使ってすぐさま水割りを作ったといわれているからです。
その場で作った水割りを飲んだ政孝は、すぐさまここを第二のニッカウヰスキー蒸溜所に決め、それこそが現在、宮城峡蒸溜所として第二の蒸溜所になっています。
余市は宮城峡よりも高いところにあるため、ハイランドと呼ばれ、宮城峡は余市より低いため、ローランドと呼ばれているのも特徴で、この標高の違いもウイスキーの味わいに大きな影響を与えています。
職人である政孝がそれに気づかないはずがなく、現在では余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所が異なる限定ウイスキーを生産し、多くの海外のウイスキーに負けないジャパニーズウイスキーを生み出しているのです。

■宮城蒸溜所に行ってみよう
宮城峡蒸溜所は蒸溜所見学もできるようになっていますので、政孝がどこにこだわってこの蒸溜所を造ったかを見てみるのがおすすめです。
ウイスキーというのは、樽の材質や使用回数、さらに焼き方やサイズなどを変えて貯蔵することが、さらに深みを増すのが特徴です。
出来上がってみないとどのようなウイスキーができるかがわからないのも楽しみの一つとなっています。
そんなニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所で造られたニッカのシングルカスクモルトウイスキー10年は、ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所限定で販売されているウイスキーです。
たった一つの樽のモルトウイスキー樽を選び、そのまま瓶詰めにしたシングルカスクで、とりわけ香りがよいのが特徴です。
なんといっても原酒ですので、ウイスキーの醍醐味である芳醇な香りと味わいが楽しめる逸品です。