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豊かな水と自然が育んだ華やかなウイスキー

■12年以上貯蔵熟成された逸品のウイスキー
「シングルモルト宮城峡12年」は竹鶴政孝が建設した、ニッカウヰスキーの二つ目の蒸溜所である宮城峡で造られました。
宮城峡蒸留所は美しく、緑豊かな仙台の森にあり、新川川(ニッカワガワ)と広瀬川のふたつの清流が出合う峡谷地に建っています。
冷涼で、穏やかな北の自然に恵まれた土地で、ニッカのモルトウイスキーは、スチームでゆっくりと蒸溜されていきます。
そして、仙台の深い森に佇む貯蔵庫で、「シングルモルト宮城峡12年」は静かに熟成が進んでいくのです。
川霧に守られた樽は、果実を思わせる華やかな香りとまろやかな風味を生み出します。
ウイスキー本来が持つ優しさと心地よさを兼ね備え、口当たりが大変柔らかいところも特徴です。
「シングルモルト宮城峡12年」はバニラの甘さを思わせる香りと、穏やかなピートの香りが調和し、フルーティな甘酸っぱさも加わって、ウイスキーの味わいをさらに魅力的なものへと深めています。
多くのファンに愛された「シングルモルト宮城峡12年」ですが、現在は惜しまれつつ販売終了となりました。
その歴史は華々しく「シングルモルト宮城峡12年」は、イギリスの酒類専門出版社「ドリンクス・インターナショナル」が主催した国際的な酒類品評会である『インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ 2014』で最高賞を受賞した実績も持っていいます。
スコットランドのウイスキー愛好家団体「SMWS」の認定ボトルにも選ばれており、国際的にも高く評価された逸品なのです。
そのため今も探し求めるファンが後を絶ちません。

■宮城峡蒸留所・仙台工場のシンボル「岩の島」
1969年5月10日にニッカウヰスキー二つ目の蒸留所である仙台工場が誕生しました。
約20万㎡の広大な敷地にはキルン棟と発芽棟、仕込工場や貯蔵庫などが林立しています。
仙台工場には赤いキルン棟と木々を映し出す池があり、遠くシベリアからオオハクチョウが飛来したこともある仙台工場のシンボル的存在です。
ですが、当初この池は工場の設計図には存在しませんでした。
この池ができ上がったのは、工場内の道をつくるために砂利を掘ったことで、雨水などが溜まりどんどん水かさが増して行ったのです。
そして、その後水が引くとぽっかりと大きな穴があいてしまいました。
そのため新川から水を引きこんでみたところ、大変立派な池ができ上がったのです。
池の住人は錦鯉や新川から拾われてきた川亀などで、余市工場のニッカ沼にいた白鳥のつがいも放たれました。
彼らがのんびりと暮らす池には岩でできた島があり、これも新川からやってきたものです。
この島は工場の建設を請け負った間組の「ニッカウヰスキー仙台工場誕生を祝った贈り物がしたい」という思いからできたと伝えられています。
政孝はその申し出を受けて「新川の対岸にある、岩を池に置きたい」と申し出ました。
ところが、想像していたよりも岩は地中深くに入り込んでおり、掘り起こすことができませんでした。
そんなある日、間組から「細かくして運ぶために発破をかけても構わないか」との話があり、 それを聞いた政孝は大笑いして承諾したという話が残っています。

■夢の実現を可能にした宮城峡蒸留所
政孝は、常々2ヵ所以上の違った土地でできるウイスキーをブレンドすることが理想であると考えていました。
第2の工場予定地を探していたところ、広瀬川と新川の合流地点に辿り着き川の水を飲んでみたところ、まさにウイスキーを造るための水と出会うことができたのです。
こうして宮城峡蒸留所は誕生しました。
蒸溜酒であるウイスキーは醸造工程で使用する水より、ボトリングの前に割り水として使う水がウイスキーの品質を大きく左右します。
新川の雪解け水は地表面を流れてできており、ミネラル分が少ないためウイスキー本来の味わいを非常によく引き立ててくれるのです。
宮城峡蒸留所で造られる「シングルモルト余市」の水割りの美味しさが格別なのは、こうした自然の恵みがウイスキーに豊富に詰まっているからこその賜物と言えるでしょう。