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ニッカウヰスキーが生み出すブランデーのおいしさの秘密とは

■リンゴジュースとともに始まったウイスキー造り
ジャパニーズウイスキーの父として知られるニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏は、スコットランドで本物のスコッチウイスキーのおいしさを知り、ぜひ日本でこの本場のスコッチウイスキーを造りたいという情熱を燃やします。
それまで日本でウイスキーと呼ばれて販売されていたものは、名前とは裏腹に何とも知れないお酒だったのです。
竹鶴政孝氏のスコッチウイスキー造りへの挑戦は、まずは場所探しから始まります。
スコッチウイスキー造りを学んだスコットランドの気候に似た場所を求めて探し回った結果、行き着いた先が北海道の余市でした。
ここに、竹鶴政孝氏によってスコッチウイスキー製造を手掛けるニッカウヰスキーが誕生します。
とはいえ、最初からニッカウヰスキーだったわけではありません。
それというのも、ウイスキーは蒸留酒であることから、蒸留後一定期間樽の中で保存し、琥珀色に変わるまで熟成しなければならないからです。
ウイスキー造りのための設備は小規模ながら整っていたことから、早速蒸留酒を造り、樽詰めを行ったものの、待っている間何もしないわけにはいきません。
そのため、余市の特産品であるリンゴに目を付けました。

■大日本果汁株式会社からニッカウヰスキーへ
竹鶴政孝氏は、周辺のリンゴ農家からリンゴを買い取り、これでリンゴジュースを造れば、絞って果汁を瓶に詰めれば即販売できると考えます。
原酒ができてウイスキーが造れるまではリンゴジュースで商売をしようということで、ニッカウヰスキーは最初は大日本果汁株式会社という名前だったのです。
この名前は日果と略され、後のニッカウヰスキーという社名の元となります。
とはいえ、竹鶴政孝氏の思惑通りにはいかず、リンゴジュースはさっぱり売れません。
もしも資金面での救いの手が差し伸べられなければ、本格的ウイスキーは誕生しなかったかもしれないくらい、追い詰められたのです。
旧知の人々の資金援助により、ついに竹鶴政孝氏は誕生した原酒を元にウイスキーを造り始めました。
その後も戦争という大きな波乱が竹鶴政孝氏を襲いますが、決して屈することなくウイスキーを造り続けた姿勢と、何があってもブレない信念は今も子孫の方々にしっかりと受け継がれてニッカウヰスキーのウイスキーは造られています。

■スコッチウイスキーだけではない
ピュアなモルトウイスキー造りに執ようとも言えるこだわりを持ち続けた竹鶴政孝氏ですが、口あたりがやわらかいのはブレインデッドウイスキーと呼ばれる複数の原酒を組み合わせたウイスキーです。
そのため、創業者である竹鶴政孝氏に敬意を表し、竹鶴ラインナップはピュアモルトウイスキーにこだわりながらも、ブレインデッドにも力を注いでいます。
一方、1936年からはブランデー製造にも着手し、リンゴを原料に使ったリンゴブランデー原酒を多く造っています。
現在は青森県産のリンゴとニッカウヰスキーの技術の融合から生み出される芳ニッカウヰスキーのアップルブランデーは、あまり知られていないのが不思議なほど、芳醇なリンゴの香りが堪能できる上質のブランデーです。
ウイスキー同様、日本人の口に合うブランデーと感じるのではないでしょうか。

■大日本果汁株式会社当時の苦労がしのばれるブランデー
ニッカウヰスキーが造るアップルブランデーは、大日本果汁株式会社で造っていた時のリンゴジュース造りを基盤にしているところが特徴です。
現在のアップルブランデーが、当時のリンゴジュースの苦労がしのばれるブランデーになっているというのは興味深いところです。
リンゴジュース造りにおいても妥協を許さなかった結果、世に送り出したジュースが返品の山になったことから、ブランデー造りにも積極的だったという竹鶴政孝氏は、上質のアップルブランデーが出来上がった時、リンゴジュース造りにも妥協しなくて良かったと思ったような気がします。
ニッカ ブランデー X.O 白は、長期熟成したリンゴブランデー原酒を使って造られたやわらかい味わいと華やかなリンゴの香りが楽しめることから、ブランデー初心者にもオススメです。
マッサンとリタさんの苦労をねぎらいながら、飲んでみるのもまた一興かもしれません。