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カリフォルニアワインの人気を高めた立て役者

■ワイン界を驚愕させたベンチャー
ボルドーワインの有名ワイナリーといえば、間違いなく名前が挙がるのがシャトー・ムートン・ロートシルトです。
カリフォルニアにあるオーパス・ワン・ワイナリーは、このフランスのシャトー・ムートン・ロートシルトと深いつながりがあることは、ワイン通にはよく知られています。
それというのも、シャトー・ムートン・ロートシルトのフィリップ・ド・ロッチルト男爵 と、アメリカ・カリフォルニア州にあるロバート・モンダヴィ・ワイナリーのロバート・ジェラルド・モンダヴィとがタッグを組み、新たにワイナリー・ベンチャーを立ち上げることを発表したからです。
オーパス・ワン・ワイナリーができたのは1978年のことですが、シャトー・ムートン・ロートシルトはすでに世界中にその名を知られる有名ワイナリーとして、高級ワインを作っていましたし、一方のロバート・モンダヴィもワイン生産者として自らのワイナリーでワインを製造する傍ら、スタンフォード大学で学んだ経済と経営の知識を活かし、マーケティングにおいても明晰さを発揮し、カリフォルニアワインを世界が認めるレベルにまで認知させた最大の貢献者です。
フランスとアメリカ、雰囲気も違えばワインの味わいも違うのに、それぞれの成功者がともにワインを作るために新しいワイナリーを立ち上げるというのですから、ワイン業界に激震が走ったといってもおかしくなかったでしょう。

■フィリップ・ド・ロッチルト男爵によって名付けられたワイナリー
オーパス・ワン・ワイナリーの名前は、フィリップ・ド・ロッチルト男爵によって付けられました。
オーパス・ワンとは音楽で使われる用語で、作品番号1番を意味します。
これをワインに当てはめて考えると、男爵に言わせれば『一本のワインは交響曲、一杯のグラスワインはメロディのようなものだ』ということで、そこからオーパス・ワンと名付けられたそうですが、このような言葉は、ワインとはどういうものなのかを知り尽くした人の頭にしか思いつかないかもしれません。
ワインを知り尽くした2人が組んだワイナリー、オーパス・ワンから生まれるワインが並のワインとなるはずはなく、その後、次々とカリフォルニアワインを代表する高級ワインを生み出していったのです。

■日本人にはあまり知られていないカリフォルニアワインの値打ち
カリフォルニアワインは、アメリカにとって大いに自慢できる産物となり、ワイナリーもその規模の大きさゆえに、アメリカ人にとっては多いに自負心をくすぐられるところでしょう。
ただ、日本人にとってワインといえばフランス、イタリアというイメージが強く、アメリカがワインと結び付く人はよほどワイン通ではないかと思われます。
今やカリフォルニアワインの中でも最高級のワインとされるオーパス・ワンにしても、知名度が高いとは言えないのが実情です。
ただ、ワイン好きならカリフォルニアワインの美味しさはもちろん、オーパス・ワンの高級品質に憧れを抱いている人が少なくありません。
なんといっても、かたやフランスの巨匠であり、もう一方はカリフォルニアワインの名を知らしめた立て役者がともに一つのワイナリーを作るというのは、まさに奇想天外な発想だったからで、これぞベンチャーの神髄といった感じです。

■満足しない姿勢に感動
ワイナリーの巨匠ともいえるこの2人に共通しているのは、すでに得た名声に満足することなく、新たな夢を追い求める姿勢のすごさです。
2人はオーパス・ワン・ワイナリーを立ち上げるにあたって、「最高品質かつほかに類を見ないワインを作る」という目標を掲げたことから、ワイン通たちは出来上がりを、首を長くして待つことになったに違いありません。
その期待を裏切らない最高級カリフォルニアワインを作り出し、カリフォルニアの最高峰との名声をほしいままにするようになったオーパス・ワン・ワイナリーが送り出したオーパス・ワン2010は、当たり年と呼ばれる年に作られたとあって、ワイン通たちがこぞって大絶賛する素晴らしいワインとなりました。
そこにはきっと、フランスとカリフォルニアの最高級のエスプリが詰まっていることでしょう。