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■森の蒸溜所「白州」について

東京からわずか２時間の距離、山梨県北杜市にサントリーが所有する２つ目の蒸溜所「白州蒸溜所」があります。
南アルプスの山々の麓に位置し、約８２万平方メートルもの広大な自然に包まれている白州蒸溜所は「森の蒸溜所」と呼ばれ、澄みわたる大気と清冽な水が湧くその地で多彩な原酒をいくつも生み出しています。
白州蒸溜所が設立したのは、サントリーが日本で初めてウイスキーづくりを始めてから５０年を迎えた１９７３年のこと。
山崎蒸溜所とは異なる個性をもつウイスキーを求め、「水の狩人」の異名を持つ初代チーフブレンダーの大西為雄氏が理想の水を追及し、数年かけて辿り着いたのが白州でした。
発酵、蒸溜、貯蔵とそれぞれの工程に豊かな自然とつくり手のこだわりが息づく白州のシングルモルトウイスキーは、管理の難しい昔ながらの木桶発酵槽を使用することでできる乳酸菌や微生物などの働きにより、清々しさの中にも奥深さを感じる軽快な香味を持つ白州ならではの独特の味わいが備わっています。
森林に包まれ、豊かな自然の恵みを享受しながら貯蔵庫で眠るモルト原酒は、樽の中で日本の四季を巡り呼吸を繰り返し、五年、十年、何十年と悠久の時を経て、世界で愛されるジャパニーズウイスキー白州として私たちの元へと届けられています。

■白州の多彩なラインナップ

山崎蒸溜所に次ぐ二つ目の蒸溜所として誕生した白州蒸溜所では、サントリーのブレンデッドウイスキーに使用されるモルト原酒を産出するだけでなく、「白州」を堂々冠する数多くのラインナップをこれまでリリースしてきました。
中には、世界的に高まる国産ウイスキーの評価による影響を受け、原酒が底をつき惜しまれながらも終売となってしまった銘柄も少なくありません。
こちらではこれまで販売された銘酒「白州」をいくつかご紹介いたします。
２０２１年８月現在において、レギュラー品となっているのは「白州」「白州１２年」「白州１８年」「白州２５年」の４つです。
「白州」は、白州蒸溜所の多彩な原酒からブレンダーたちが厳選したモルトウイスキーでつくられた、年数表記がないノンエイジのシングルモルトです。
森の若葉のようにみずみずしくフレッシュな香りと爽やかで軽快なキレのよい味わいは、ハイボールのベースとしても人気。
白州の中で最もシンプルな銘柄であることから一番最初に発表されたボトルと思われがちですが、蒸溜所が設立された１９７３年から３９年後の２０１２年５月にリリースされた比較的若い銘柄です。
白州ブランドの原点とも言われる「白州１２年」は、１９９４年にリリースされた銘柄で「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション（SWSC）」や「インターナショナルワイン＆スピリッツコンペティション（IWSC）」など世界的な権威ある酒類品評会でも高い評価を受けた人気の１本です。
近年のウイスキーブームの影響により熟成原酒が不足したため２０１８年４月末をもって出荷を休止し、店頭からも姿を消すことになりましたが、２０２１年３月３０日から数量限定で再発売されており、多くのファンが手に入れたいと発表早々に話題となりました。
２００６年にリリースされた「白州１８年」は、酒齢１８年を超える長期熟成モルトを使用し、若葉やミントの香りを強くアピールするスッキリとした爽やかな味わいが特徴の白州です。
ほどよくスモーキーさも感じられ、こちらも「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ（ISC）」をはじめとする世界の品評会で高評価を獲得しているジャパニーズウイスキーの誇りとも言える銘柄となっております。
これまでのラインナップ同様、世界で数々の賞を受賞しているのは「白州２５年」も同じで、白州が育んだ貴重なモルト原酒の中から酒齢２５年を超えるクリーミーかつウッディな長期熟成モルト原酒をヴァッティングして作られた珠玉のシングルモルトです。
白州２５年の最大の特徴は、オーク樽の他にシェリー樽の原酒をキーモルトに用いていることでしょう。
赤みがかった褐色の液体が熟成樽ならではの特色をしっかりと表現しています。
他にも、「白州１０年」や「白州ヘビリーピーテッド」、「白州バーボンバレル」や「白州シェリーカスク」といった多数の銘酒を送り出しているサントリーの白州蒸溜所。
ぜひ、お好みの味わいを見つけ出し、一度手に取っていただきたい日本が誇る国産ウイスキーです。

■ウイスキー樽（カスク）の違いと特徴

ウイスキーは蒸留した原酒を樽詰めして寝かせることで、独特の風味や味わい、香りが生まれます。
「カスク」とは貯蔵・熟成に用いられる「樽」のこと。
樽は貯蔵するための物理的な容器ではなく、ウイスキーの仕上がりを大きく左右し、香りや味わいにも大きな影響を与えます。
樽に使う木材の違いはもちろんのこと、大きさによっても熟成スピードなどにも影響を与え、ウイスキーの味や香りを変化させます。
たとえば、大きい樽は樽との接触する表面積が少なくなり、穏やかに熟成が進むため、重厚な味わいのウイスキーをつくりたい時に用いられたりします。
樽材の樹種や大きさをはじめ、樽の内面処理の方法により香味も色にも差が生じます。
熟成スピードや質に大きく影響するのがサイズで、小さいほど熟成スピードは速く、樽材からの影響を受けやすく樽香も強く影響されます。
色と香りに特徴を与えるのが、樽内面の焼き方。
樽の内側を強く焦がすと色や樽香は濃くなり、焼き方が弱ければ色は淡く樽香も弱くなるという特徴が生まれます。
一方で、新樽をはじめとする若い樽を使うほど、樽の個性が移りやすく、原酒の色や香りは濃くなるんですね。
原酒には長期熟成したい場合には古樽を用いることで、熟成をじっくりと穏やかに進むませることができます。
樽の違いによって個性が大きく異なるウイスキーが出来上がるため、つくりたいウイスキーのイメージに合わせて樽が調整できるよう、サントリーでは樽づくりも自社で行い、経験豊富な職人が手作業でブレンダーや貯蔵チームの希望に合う樽を作っています。
オーナーズカスクは、長いウイスキーの歴史から受け継いだ多くの知識とサントリーが育んだ職人と技術によってつくり上げられた、ウイスキー好きのための贅沢なお酒と言えるでしょう。