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■ウイスキーの風味を特徴付ける樽の大切さ

サントリーで使用している樽は大きく５種類あり、ホッグスヘッド樽もその１つです。
容量が小さいものから順にご紹介していきましょう。
「バーレル」は最大径６５cm、長さ８６cm、容量１８０Lサイズで内側を強く焼き、バーボンの熟成に１回使用している樽です。
「ホッグスヘッド」は最大径７２cm、長さ８２cmで容量２３０Lサイズ、バーレルを一旦解体した側板を再利用して大きい鏡板を配した樽となっています。
つまり、バーボンを造った樽でウイスキーを貯蔵し、さらにもう一度ウイスキーをつくるために用いられる３度目の貯蔵を経験する樽になるということで、それまでの歴史や味わいも刻まれているというわけです。
次のサイズ「パンチョン」は最大径９６cm、長さ１０７cm、容量４８０Lサイズで、ずんぐりした形が特徴的。
北米産ホワイトオークの柾目板だけを厳選した、選りすぐりの樽材が使われています。
「シェリー」も容量４８０Lですが最大径８９cm、長さ１２８cmとなっており、パンチョンに比べると縦長なスリム形で、サントリーではスペインでシェリーの貯蔵用として使われてきたスパニッシュオークの樽を買い付けているのだとか。
５つ目にご紹介する「ミズナラ」は国産オークであるミズナラの樽材を使用し、長期熟成によって伽羅や白檀のような「和」ならではの雅かで落ち着きある香りを彷彿とさせる熟成香をもたらしてくれます。
ミズナラ樽はまさしくジャパニーズウイスキー独特の風味を生み出すための樽であり、他国では通常使われていない日本ならではの貯蔵樽のため、ミズナラ樽熟成の国産ウイスキーは海外のウイスキーファンに大人気です。

■ホッグスヘッドは熟成に使う樽のサイズのひとつ

「ホッグスヘッド（HOGSHEAD）」とは、ウイスキーを熟成させる樽のサイズ別分類の一種です。
英語で「豚の頭」を意味するホッグスヘッドという樽の名称は、この樽にウイスキー原酒を詰めた際の重さがほとんど豚一頭分になることに由来して名付けられたのだとか。
ホグスヘッドの内容量は約２２０～２５０リットルで、内面を焦がしたホワイトオーク材のバーボン樽を一度解体してから、再度組み直して作られています。
解体したバーボン樽をバラバラに解体し、これを組み直す際に樽材を追加して胴回りをやや大きくして、新しい鏡板（ヘッド）を用いて組み直すことで、貯蔵効率を高めているそうです。
稀にシェリー樽から作るホッグスヘッド樽も存在しており、このタイプは「シェリーホッグスヘッド」という名称で呼ばれています。
ホッグスヘッドで熟成させたウイスキーの特徴は、樽由来の香味がしっかりウイスキーの風味に影響することです。
ホッグスヘッドは、元のバーボンバレルよりも一回り大きいサイズではあるものの、バットやパンチョンなどに比べると小さめな樽なんですね。
ウイスキーの貯蔵・熟成に用いる樽は、サイズが小さいほど原酒と樽材との接触面積が大きくなるため、熟成も早く進み、樽木の香味成分が移りやすいと言われています。
このようなサイズの特長が、ウイスキーの香りや味わいに変化をもたらすというのはとても興味深いところではないでしょうか。
ウイスキーファンが蒸留所の歴史や産地の土壌、製造や熟成方法について深く知りたいと思い、どんどん魅力にハマっていくことにも納得です。

■高額買取になるオーナーズカスクとは

サントリーシングルカスク「オーナーズカスク」は、表面ラベルに記載されている蒸溜年度（Distilled in）や瓶詰年度（Bottled in）が同じでも、買取価格が大きく異なることがあります。
それは、サントリーが所有する山崎蒸溜所で販売された数ある種類の樽の中から、オーナーが選び抜いた樽のウイスキーをオリジナルの商品として販売しているからです。
同じ蒸溜年度・瓶詰年度のウイスキーでも、選んだ樽の種類によってウイスキーのカラーはもちろん、香りや味わいもまったく異なるのがウイスキーの興味深いところでもありますよね。
まさに、そのウイスキーが出来上がるまで、ボトリングされるまでの過程を特別に楽しめるということがオーナーズカスク最大の魅力であり、ジャパニーズウイスキーファンにとっては夢のような１本なんです。
どのボトルもプレミアムな希少価値があることに変わりませんが、やはりそこはウイスキー。
蒸溜から長い年月を経た長期熟成のウイスキーであればあるほど価値があり、世界でも評判の高いジャパニーズオーク材のミズナラ樽やシェリーバットに貯蔵されたウイスキーは買取価格が高くなる傾向にあります。
また、蒸溜年度は新しいよりも古い方が価値があがるのも特徴のひとつです。
オーナーズカスクのウイスキーデータについてはボトルラベルに詳しく記載されていますので、「蒸溜年度（Distilled in）」や「瓶詰年度（Bottled in）」、「カスクタイプ（樽の種類）」や「セラー（貯蔵庫）」情報をご覧ください。