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■ウェールズでのみつくられるウェルシュウイスキー「ペンダーリン」

ウェールズ（Wales）はイギリス本島南西部に位置する、グレートブリテン島を構成するイングランド、スコットランド、北アイルランドに並ぶ４つのカントリー（国）のひとつです。
かつては石炭を代表する豊富な地下資源を産出した地でもあり、１８世紀後半にイギリスから始まった産業革命を支えたという歴史的背景を持つ国として知られています。
ウイスキーの代名詞とも言えるスコッチ・ウイスキーの生産国として世界的に有名なスコットランドから少し離れたウェールズには、この地唯一となる蒸留所があります。
それが「ぺンダーリン蒸留所（PENDERYN DISTILLERY）」です。

■１００年の時を経て復活したウェルシュ・ウイスキーの歴史背景

スコットランドで造られるウイスキーが「スコッチウイスキー」、アイルランドで造られるウイスキーが「アイリッシュウィスキー」と呼ばれるように、ウェールズで造られるウイスキーは「ウェルシュウイスキー（WELSH WHISKY）」と言います。
ウェルシュウイスキーが初めて製造された記録は３５６年まで遡るほどその歴史は非常に古いと言われており、既にウイスキーの定義に合う蒸留酒は中世から製造されていたとされています。
しかし、１９世紀に入ってからは禁酒運動の活発化によってウェルシュウイスキーの生産量は減少傾向となり、１９世紀の終わり頃には新酒が作られなくなり、蒸留を行った原酒が作られたという記録は１８９４年をもって完全に途絶え、ウェルシュウイスキーは姿を消すこととなります。
それから約１００年以上の月日が経過した２０００年、一度倒産したウェルシュ・ウイスキー・カンパニーの復活が発表されると同時にウェールズに「ぺンダーリン蒸留所」が建設され、原酒の生産を開始することとなります。
それから数年後の２００４年３月１日、セント・デイヴィッドデイの記念日に「ウェルシュ・ウイスキー」はチャールズ皇太子立会いの下で復活を遂げ、製造されたウェルシュウイスキーは蒸留所が位置する場所の名前を冠した「ペンダーリン（PENDERYN）」という銘柄のシングルモルトとして販売が開始されました。
以降、復活を遂げたウェールズウイスキー「ペンダーリン」は、たったひとつの蒸留所で造られるため生産量が少ないことから「幻のウイスキー」と呼ばれ、世界で人気を博しています。

■初心者にも飲みやすい「ペンダーリン ピーテッド」の特徴

現在のところ、ウェールズ唯一のウイスキー蒸留所であるぺンダーリンが生産しているウェルシュウイスキーの特徴は、スコッチやアイリッシュウイスキーでも使用されていない、まったく新しい他に例を見ないユニークなポットスチル（蒸留器）を使用していることです。
低い電力で高い度数の原酒を作り出せるよう工夫されたポットスチルで作られるウェルシュウイスキーは、並外れたパワフルさとピュアさを持ち合わせた風味豊かな味わいに仕上がります。
同じウェールズにあるビール醸造所から仕入れた醸造酒をぺンダーリン蒸留所で蒸留した後、バーボン樽で熟成し、仕上げにマディラワインを貯蔵していた樽で熟成させたシングルモルトウィスキーと、シェリー酒を貯蔵していた樽で熟成させたシングルモルトウィスキーの２種類がありますが、どちらも非常に人気です。
天然ハーブでフィルター濾過しているため独特なハーブの香りが残る芳醇なコクが風味のアクセントになっており、樽の香りが染み込んだ飲み口の柔らかいウェルシュウイスキーは、スコッチに比べてスモーキーさが無く、キリッとした辛口の味わいが飲みやすいのでウイスキー初心者にもおすすめです。
淡い金色で繊細な複雑さを持つ芳醇な味わいが特徴の「ペンダーリン ピーテッド」は、、「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション（IWSC）２００８」において銀賞を獲得した一級品です。
ピートの風味をプラスしたウイスキーのため、スモーキーなアロマがはっきりと主張されているものの、バニラやグリーンアップル、爽やかな柑橘系の香りが続いて加わることで優しいフレーバーに仕上がっており、さらに次の一杯が欲しくなる味わいが魅力となっています。
ウイスキーファンの間で少しづつ注目が高まっている個性的なウェルシュウイスキー「ペンダーリン」。
ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。