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イギリスのスコッチと日本の間にあるウイスキーの歴史

■ウイスキー発祥の地

ウイスキーブーム真っ只中にある日本では、ウイスキーそのものを手に入れることが難しくなっています。
そんなウイスキーの魅力を知って飲むと、もっとウイスキーを美味しく味わえることでしょう。
そのためには、やはりウイスキーの歴史を知ることが大事になってきます。
日本人にとって長い間、「ウイスキー＝スコッチ」という考えがありましたが、これは明治維新後、イギリスからウイスキーを大量に輸入したことに端を発します。
国同士にもお付き合いがあり、明治新政府はイギリスと結束していたことから、イギリスの代表的なウイスキーであるスコッチが多く日本に入ったのです。
スコットランドで造られたウイスキーがスコッチと呼ばれているということを知らず、イギリスから入ってくるウイスキーがスコッチという理解になっていたといっていいでしょう。
そのため、日本でウイスキーのことをスコッチと呼ぶ人が比較的多いのは、出来上がってしまった固定観念はもちろん、ウイスキーのことについてほとんど知らないことを露呈してしまっているといえます。
そのため、ウイスキーを飲む機会があった時に恥をかかないよう、違いと歴史を把握しておくのがおすすめです。

■スコットランドはウイスキーづくりに最適のところ

アイルランドでもウイスキーは造られていましたが、スコットランドは特にウイスキーづくりに最適な気候条件が揃っていたことから、早い時期から造られていました。
ただし当初は無色透明の液体で、蒸溜してすぐに飲んでいたため、アルコール度数が高く、刺激の強いウォッカのような味わいだったと言われています。
現在のような琥珀色をし、味も香りも豊かな豊潤に満ちているウイスキーが造られるようになったのはここ200年～300年の間ほどで、お酒の歴史でいえばひどく新しいという印象です。
その中でもアラン島にある唯一合法の蒸溜所であるアラン蒸溜所は、150年以上の時を経てアラン島にできた蒸溜所として、世界中から注目されています。
アラン島はスコットランドの下、南西にある小さな島で、ここでもウイスキーづくりが盛んでした。
ウイスキーづくりに適した条件が揃っていたことから、大小様々な蒸溜所があったものの、その大半が密造酒を造る違法蒸溜所だったのです。
戦いでイングランドに負けたスコットランドは、蒸留酒に高い税金を課せられることになってしまったため、税金を逃れるために密造酒にする必要がありました。
スコットランド南西に位置する小さなアラン島は、こっそりと密造酒を造るには最適な島と言えました。
スコットランド全体がウイスキーづくりに適していますが、その近くにある島でさえも造るのに適しているのですから、蒸留酒がどんどん造られる以上、それに税金を載せるのは、イングランドとしては最も効率がよかったわけです。
その後、時を経て合法の蒸溜所がスコットランドに増えていく中にあって、アラン島には1995年にようやく合法のアラン蒸溜所ができました。
アラン島にもたくさんの密造蒸溜所があったことを思えば、実に最近の出来事と言ってもおかしくありません。

■歴史は浅いが味は文句なし

アラン蒸溜所を造ったのはシーバスブラザーズで代表取締役を務めたこともあるハロルド・カリー氏であったことから、アラン蒸溜所が造り出すウイスキーは注目を集めました。
長くウイスキー業界に籍を置いてきたハロルド・カリー氏だからこそ、蒸溜所の歴史は浅いものの味は文句なしのウイスキー、アランウイスキーを世に送り出せたのです。
そんなアラン蒸溜所が初リリースした10年熟成のピーテッドタイプのウイスキーが、「ピーテッドアラン 2005年 バーボンカスク」です。
蜂蜜にバニラ、さらにレモンピールにショートブレッド、そこへピートスモークも加わったトフィーは、オークスパイスを伴って広がる香りの良さが特徴です。
脂ののったオイルサーモンが舌をコーティングし、そこへバニラ、レモンキャンディ、ジューシーパイナップルという取り合わせの味ワイは、アランにしか造れない極上の一本でしょう。