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王室に愛されたレミーマルタン

■5大ブランデーブランドで歴史上の人物に愛されたと言えば
コニャックと呼ばれるブランデーブランドは、どこも自社ならではの歴史を作り上げてきました。
また、味わいもそれぞれで異なることから、5大ブランデーブランドの中でもっともおいしいコニャックを選ぶのは難しいでしょう。
とはいえ、コニャックの歴史をひも解くと、自ら皇帝制を作り、フランスにおける初代皇帝に治まったナポレオン1世ことナポレオン・ボナパルトは、5大ブランデーブランドの中でも特にクルボアジェが好きだったことで知られています。
幽閉先のセントヘレナにも多くの樽を運ばせたと言いますから、よほどお気に入りだったのでしょう。
一方でフランス王室御用達となっているのはコニャックの代名詞とも呼ばれるレミーマルタンで、フランス王朝の王たちに愛された歴史が刻まれています。

■創業まもなく関わりが始まった
父親が経営する小さなワイナリーを手伝っていた少年は、30歳になる頃には広大な土地を所有し、ワインについての知識は全て持っていました。
そこへさらに義父から商売の仕方を教わると、広大な土地とワインの知識、そして商才を活かそうとして、起業に乗り出します。
この野心家の創業者こそ、レミーマルタンの名を持つコニャックを生み出すことになった、エミール・レミー・マルタンです。
レミーマルタンの歴史が始まった1724年の創業からわずか14年後の1738年、当時のフランス王朝の王であったルイ15世から、アコー・ロワイヤルと呼ばれる王の許可を授けられます。
レミーマルタンのコニャックの品質に大変感激したルイ15世がレミーマルタンに与えた特権で、新しいブドウ畑を植樹するにあたり、独占的に行えるという非常に大きな権限を授与されたのです。
このルイ15世による深い感銘は、レミーマルタンを造り出す優れた技術を持った職人たちをたたえてのことだったと言いますから、職人たちの喜びは大きかったことでしょう。
この歴史から長い時を刻んだ1997年、当時のセラーマスター 、ジョルジュ・クロが初期のクラフツマンシップをたたえようと造った新しいコニャックが、ルイ15世に敬意を表して造られたレミーマルタン1738です。

■レミーマルタンを商標登録した4代目が持つ逸話
4代目のレミーマルタントップに立ったポール・レミー・マルタンは、非常に商才に長けた人で、レミーマルタンの知名度を一躍世界規模に押し上げた人として知られています。
ポールはレミーマルタンの美しいボトルデザインの中でもひときわ優雅で、もっとも特徴的なデキャンタに入っていると言われるルイ13世を造り出した人物です。
ルイ13世が生まれた歴史をたどるには、1569年のジャルナックの戦いにまでさかのぼる必要があります。
戦場跡地とされる場所で、ある特徴的な金属フラスクが発見されたのです。
この金属フラスクをヒントに独創的なデキャンタを造ったポールは、1874年、このデキャンタに入れたコニャックをルイ13世と名付けました。
もともとはグランド・シャンパーニュ・ヴェリー・オールドという名のコニャックでしたが、ルイ13世はレミーマルタンに対して熱心にオー・ド・ヴィーの販売を推奨した人物です。
そのため、ルイ13世に敬意を表してのちにルイ13世と名を変え、販売するようになりました。
現在も、この美しいデキャンタは多くの人々を魅了しています。
定番に稀少価値を持たせた点で一度は飲んでみたいVSOP
レミーマルタンのコニャックとしてもっとも良く知られている、定番中の定番と言えば、VSOPです。
レミーマルタン VSOP 白ラベルは、通常のつや消しタイプのVSOPボトルとは異なり、つやのあるボトルを使い、白いキャップシールで蓋をしているのが特徴です。
見た目の美しさもあって、定番と味わいは同じでありながら、コレクターたちから高評価を受けているあたりは、ルイ13世を造り出したレミーマルタンらしいと言えます。