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ブドウの栽培にこだわり続ける一流メゾンのシャンパーニュ

■ ブドウの栽培に先見の明
世界に名立たるメゾン「ルイ・ロデレール」は、1833年にメゾンの経営を譲り受けたルイ・ロデレール氏から歴史が始まります。
シャンパーニュ地方に1776年に創設されたメゾンでしたが、叔父のニコラ・シュレッダー氏が買い取り、甥のルイ・ロデレール氏に経営権を譲ったものです。
当時のメゾンは世界に名を馳せるような素晴らしいものとはいえませんでした。
ルイ・ロデレール氏はその鋭い先見性と洞察力で、ほかにはない唯一無二のシャンパーニュを生み出す哲学を得ました。
それは、原材料となるブドウの栽培から手を入れる経営方式でした。
1845年にはヴェルズネ村のグラン・クリュ（最高級畑）で15ha区画を獲得し、自らが本気でブドウの栽培者となりました。。
今でこそヴェルズネ村は、多様なテロワールを形成する「ピノ・ノワールの聖地」と呼ばれる特級村として知られていますが、当時彼の行動は非常に奇異なものでした。
というのも、当時はメゾンはメゾン、栽培者は栽培者といった切り分ける考え方が主流で、シャンパーニュの原材料となるブドウの価値も非常に低かったのです。
メゾンは栽培者から安くブドウを仕入れるスタイルが当たり前で、メゾン経営者であるルイ・ロデレール氏が自ら畑を買うなど、当時ではあり得ない行動でした。
それでも彼は自社のシャンパーニュを造るにあたり、ブドウ栽培から全て自社で一貫して全工程を極めることを考えたのです。

■ 土壌の質と伝統への情熱
ルイ・ロデレールのヴィンテージ付きワインは、自社畑のブドウしか使われていません。
シャンパーニュ地方で非常に稀なこのスタイルを貫けるのは、創始者のルイ・ロデレール氏が、当時から自社生産に強くこだわり続けたからです。
彼は区画ごとに現れる特性や備わったテロワールなどを研究することで、さまざまな土壌から別々に集めたブドウを使い、多様性を持つ独特な味わいを得る画期的な方法も編み出しました。
現在ではルイ・ロデレールの畑は240haとなり、区画も410備えています。
これも自社のブドウの生育にこだわったルイ・ロデレール氏が区画ごとに造詣を深めた結果です。
彼の信念は「土壌の質と伝統への情熱、将来性を見抜く眼から最高のワインは生まれる」ことでした。
この教えは後を継いだ息子のルイ・ロデレール2世にも受け継がれ、連綿と現在まで続いています。

■ 世界から愛されるシャンパーニュ
ルイ・ロデレールのシャンパーニュがフランス国外へ販売され始めたのは、1870年代です。
ワインの輸出は大成功し、特にロシアでは高い評価を受け、皇帝アレクサンドル2世から特注のシャンパーニュを造ってほしいと依頼を受けるまでになります。
このとき生まれたのが、1876年に生産を開始したプレスティージュ・キュヴェ「クリスタル」です。
クリスタルグラスのボトルに入れられた最高級のシャンパーニュは、それ以来メゾンを代表する比類なき銘品として世界で評されています。
その後メゾンは大戦の影響で荒れたブドウ畑を再生して、醸造学や農学により栽培を強化しながら、長い歴史の中で基本理念を忠実に実践し続けてきました。
その結果、揺るぎない信念によって造り続けられる最高のシャンパーニュが、今も世界中で愛されているのです。

■ シャルドネが輝くルイ・ロデレール ブラン・ド・ブラン 2009
ルイ・ロデレール ブラン・ド・ブラン 2009は、シャンパーニュ地方の輝くシャルドネを原料に造られた逸品です。
果実の力強さと繊細な風味は、シルクのように柔らかな泡をまとい、心を震わせます。
現在ではルイ・ロデレールの年間輸出総量は300万本に達する勢いですが、やはりヴィンテージの限られた輝きを持つ一本は何にも代え難い魅力を持ちます。
偉大なシャンパーニュを生み出す土地のテロワールを、存分に感じられる作品でしょう。