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友人と飲むために造られた至福のシャンパーニュ

■友人たちと飲むために

「サロン(SALON)」の創業者はウジェーヌ・エメ・サロン氏です。
1900年代、サロン氏はすでに毛皮商として成功を収める実業家でした。
サロン氏は当時パリで王族などセレブの社交場となっていたマキシム・ド・パリにも出入りしていましたが、そこでシャンパーニュに魅了されます。
そしてシャンパーニュに惚れこむあまり、徐々に市販のシャンパーニュでは満足できなくなったサロン氏は、友人たちと味わうために至福のシャンパーニュを造ることを決意します。
選ばれたのはコート・デ・ブラン地区のル・メニル・シュール・オジェ村にある5ヘクタールばかりの畑で、そこを購入して「サロンの庭」と呼び、シャルドネを育て始めたのです。
このサロンの庭で採れた純粋なシャルドネだけで、初のミレジメ(単一年のワインだけで作るシャンパーニュのこと)のブラン・ド・ブランが誕生したのは1905年と言われます。
氏が友人たちと至福のシャンパーニュを味わうためだけに造り上げた、至ってプライベートなヴィンテージです。

■友人たちの評判が後押し

サロン氏からこの至福のシャンパーニュを振る舞われた友人たちは、もちろんその味わいを絶賛しました。
やがてそうした友人たちの評判が広がり、社交界の中心にまでその名が届くことになります。
そしてついには社交場の中の社交場、マキシム・ド・パリのハウス・シャンパンに採用されたのです。
当時マキシム・ド・パリには世界中から最高に舌の肥えたセレブたちが集まっていましたが、そこで認められたことでウジェーヌ・エメ・サロンのシャンパーニュは唯一無二の名声を得ました。
当時からメニルのシャルドネはできが違うとみなされていましたが、そのポテンシャルを余すところなく引き出したサロン氏の情熱が生んだ賜物といるでしょう。

■連綿と受け継がれるこだわり

マキシム・ド・パリでは、1921年ころには顧客からの膨大なニーズに対応するために、地下にセラーを備えたメゾンを建設しています。
ウジェーヌ・エメ・サロン氏自身は1943年に亡くなりましたが、甥がしっかりとメゾンを引き継ぎ、1988年からはローラン・ペリエの傘下となっています。
サロン初のヴィンテージは1905年と言われますが、1999年までを数えても37のヴィンテージしかありません。
2000年を超えると生産が安定し、2年おきにリリースされているのですが、一般的な有名シャンパーニュと比べて非常に数が少ないことは間違いありません。
それは、サロン氏がこだわったミレジメのブラン・ド・ブランであることを頑なに守っているからです。
一般的には安定供給のために、ブドウが不作の年には他の年のワインをアッサンブラージュ(ブレンド)して仕込みます。
しかしながらサロンのシャンパーニュに限ってはそれは許されません。
ミレジメという、良質なブドウが収穫できた年のみに作る単一年のワインだけで製造する方法を採っているからです。
もともと自身と友人が楽しむために造られた至高のシャンパーニュですから、最良のシャルドネが収穫できた年にしか製造はしなかったのです。
つまり、サロンのシャンパーニュはよいブドウが採れなければ飲めない、そんなこだわりもまた連綿と受け継がれているのです。
一番搾り果汁のみを瓶内で10年間以上熟成させて造る極上のシャンパーニュは、年間約6万本、少ない年はその半分しか生産されません。
一般に流通するのは約7,000本と言われますから、どれほど希少性の高いシャンパーニュかがご理解いただけるのではないでしょうか。

■サロン ブラン・ド・ブラン ル・メニル 1982

80年代のベストヴィンテージで、古くなるほど酸のキレと力強さが増すと言われるサロンのシャンパーニュにおいて、絶好のコンディションを迎える1本と言えます。
もちろんコート・デ・ブラン地区のグラン・クリュであるル・メニル・シュル・オジェ村のシャルドネのみを使用して造られたもので、間違いなくサロン氏の求めた至福の味わいを持っています。
シャルドネは長期瓶内熟成を経ることで、他では再現不可能なエレガントさとパワフルさを生み出す唯一無二の品種です。
気の置けない仲間とともに、ぜひサロン氏の熱い想いにも触れたい逸品です。