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孤高のメゾンと呼ばれる理由と徹底したこだわり

■孤高のメゾンと呼ばれるシャンパーニュメゾン・サロンとは

シャンパーニュを名乗ることができるスパークリングワインは、シャンパーニュ地方で作られるものだけであるのはよく知られた事実ですが、それだけにここには多くのメゾンが集まっています。
日本でなじみがあるのはドン・ペリニヨンやモエ・エ・シャンドン、ヴーヴクリコといったあたりですが、シャンパーニュ地方にはほかにも有名なメゾンがたくさんあります。
そんなシャンパーニュ地方で、シャンパーニュに適したブドウ品種のシャルドネを高品質で栽培できるのがコート・デ・ブラン地区で、ここに孤高のメゾンと呼ばれるシャンパーニュメゾンがあります。
それが、「サロン(SALON)」です。
サロンが孤高のメゾンと呼ばれる最大の理由は、通常のシャンパーニュづくりではなく、あるこだわりを持っているところにあります。
そのキーワードとなるのが”単一”です。

■”単一”にこだわるシャンパーニュメゾン・サロン

サロンがこだわる単一の要素は、ブドウの栽培地区となるクリュ、そしてブドウの品種、さらにヴィンテージです。
シャンパーニュ地方における伝統的なシャンパーニュは、マルチヴィンテージ(複数年号)と呼ばれるアッサンブラージュの妙にあるとされています。
アッサンブラージュとは一般的には「ブレンド」として知られている作業になります。フランス北部に位置し、厳しい気候のシャンパーニュ地方では、収穫年に左右されずに安定した品質を保つため、複数のヴィンテージをアッサンブラージュ(ブレンド)するという、独特の製法があります。
近年、このマルチヴィンテージが少なくなってきているため、あえてマルチヴィンテージにこだわっているメゾンもあるほどです。
とはいえ、通常はアッサンブラージュが当たり前のシャンパーニュづくりにおいて、何もかも単一にこだわるサロンが特殊な存在であり、それゆえに孤高のメゾンと呼ばれるのです。
単一クリュに単一品種、単一ヴィンテージにこだわったシャンパーニュづくりでは、多くのシャンパーニュを造り出せないことは明らかです。
それでも単一にこだわり続けるのには、創業者であるウジェーヌ・エメ・サロンの意思にあり、非常にシャンパーニュが好きで、シャンパーニュに惚れこむあまり、自ら最高品質のシャンパーニュを作ろうと思い立って興したメゾンだからです。

■採算性を度外視した結果生み出された傑作

単一にこだわって作るということは、すべての条件が揃った年にしか満足できるシャンパーニュが出来上がらないということを意味しますので、サロンが孤高のメゾンと呼ばれるのも無理からぬことです。
このこだわりを貫き通した結果、サロンは世界で最初のブラン・ド・ブラン、白の中の白と呼ばれるスパークリングワインを生み出したのがサロンであったと聞けば、特に驚くに値しないでしょう。
シャンパーニュに惚れこみ、シャンパーニュをこよなく愛する一人の男によって、シャンパーニュ地方にまた一つ、秀逸なシャンパーニュを生み出すメゾンが生まれたと言えますが、そのメゾンがまたユニークな存在だったことに、シャンパーニュ地方でのシャンパーニュづくりがいかに大切にされてきたかという歴史が垣間見えます。
孤高のメゾンが世に送り出すシャンパーニュは、シャンパーニュ地方で作られるシャンパーニュの中でもひときわ数が少なく、すべてが希少価値を持っていると言えるでしょう。

■孤高のメゾンが世に送り出した完全主義のブラン・ド・ブラン

「サロン ブラン・ド・ブラン ル・メニル 1983」は、1983年に作られたシャンパーニュで、サロンがこだわる単一という条件を譲ることなく、完全主義を貫いて出来上がったシャンパーニュです。
シャンパーニュは、シャンパーニュ独特の製造法である瓶内第二次発酵、いわゆる瓶内で熟成させる期間を設けていますが、この瓶内熟成期間が3年経ちますと、ヴィンテージとなります。
3年でヴィンテージになるところを、サロンでは10年前後行うことにしており、こちらもまった徹底して守り抜いているというのですから、出来上がるシャンパーニュの品質もまた高くなるのは当然です。
ル・メニル・シュール・オジェ村のグラン・クリュであり、ここで100%に格付けされた畑で取れた最上級のシャルドネのキュヴェのみを使用するという単一への強いこだわりから生まれたシャンパーニュは、そのおいしさが存分に味わえる豊かで繊細な泡立ちの中に、華やかさと気品そして熟成感ある豊かなボディが詰まっています。