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シャンパーニュの歴史の中でもまれなメゾン

■シャンパンとスパークリングワインの違い

日本においては、発泡性のワインのことをシャンパンと呼ぶことが多いのですが、実は大半がスパークリングワインと呼ばれるものなのです。
それというのも、シャンパンとは、フランスではシャンパーニュと呼ばれ、特定の条件を満たしたスパークリングワインにだけに許されている名称となっているからです。
シャンパーニュ地方で作られていなければ、たとえ発泡性のワインであってもスパークリングワインに分類されます。
こうした地域の名を冠したワインには、その地域でしか作ることのできない特別な特徴があります。

■シャンパーニュ地方に多く集まったメゾン
ワインやシャンパーニュを語るときによく出てくる言葉に”メゾン”というものがありますが、これはいわゆる醸造所のことを言います。
シャンパーニュでいえば、日本でよく知られているモエ・エ・シャンドンやヴーヴクリコ、さらにドン・ペリニヨンなどがそれにあたります。
シャンパーニュ地方には小規模の家族経営のハウスと呼ばれるところから、ドン・ペリニヨンのような大規模なメゾンまでさまざまな製造所があるのです。
中世のヨーロッパでは、すでに泡立つワインに言及した文書が見つかっていますが、1200年には居酒屋のシーンを演じる芝居の中で、泡立つワインについて演劇がされたという記録が残っています。
そのセリフは、「泡が食べられる様子を見てごらん。
跳ねて光って震えています。そして舌の上で転がすと極上のワインになる」というもので、場所は特定されていませんものの、現在のシャンパーニュにつながる描写となっている点は非常に興味深いところです。
さらに、1571年にはあるフランス人医師がシャンパーニュのワインが泡立っているという記述を残していますが、興味深いことにブルゴーニュワインも泡立っていたと記されています。こうした過去の歴史を紐解きますと、泡立つワインであるスパークリングワインと呼ばれるものを、シャンパーニュ地方だけで作られていたわけではないことが推察できます。
シャンパーニュ地方のスパークリングワインだけがシャンパーニュを名乗れるというのは、メゾンによるさまざまな試みがシャンパーニュ独自の歴史を刻んできたからにほかりません。
その中の一つが、「シャンパーニュメゾン・サロン(Salon)」です。
孤高のメゾンとの異名を持つ珍しいメゾンであり、世界中から注目を集めています。

■創業以来100年にわたって作ってきたシャンパーニュの数

1920年、毛皮商として成功を収めていたウジェーヌ・エメ・サロン氏によって創業された「シャンパーニュメゾン・サロン」は、サロン氏が大のシャンパーニュ好きだったことから、至高のシャンパーニュを自分で作りたいと興したメゾンです。
そのため、シャンパーニュ地方に伝わる伝統的なシャンパーニュづくりの手法であるアッサンブラージュ(複数年号をブレンドすること)を行わず、単一であることに徹底的にこだわっているのが特徴です。
一年の内で、単一のクリュで単一品種のブドウ、そして単一の優れたヴィンテージという3つの要素が揃わなければ、シャンパーニュ生産しないというのですから驚きです。
その結果、100年の間に世に送り出されたのはたった30数ヴィンテージ足らずとなりました。サロンのシャンパーニュは、どれも希少価値が高いヴィンテージものばかりとなり、愛好家にとってはまさに垂涎の的となるシャンパーニュ揃いとなっています。

■サロン34作目の渾身の作は

「サロン ブラン・ド・ブラン ル・メニル 1995」は、サロンブランドの34作目にあたるヴィンテージシャンパーニュです。
最高級のブドウ畑であるグランクリュに格付けされた村から収穫したシャルドネを100%使用しており、当然ですが単一クリュ、単一品種となっています。
さらにサロンこだわりの長期間にわたる熟成によって、蜜っぽいトーストの香ばしい香りと、凝縮した果実の風味が堪能できるため、34作目も渾身の作といるシャンパーニュが出来上がりました。