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焼酎界で圧倒的な知名度を誇る焼酎の蔵元

■芋焼酎の本場・鹿児島県霧島で長い歴史を持つ焼酎の蔵元
九州は各県でそれぞれ原材料の異なる焼酎を造っていますが、それぞれの場所でプレミア焼酎と呼ばれる、非常に出来のよい焼酎が生み出されています。
とりわけ焼酎の生産量で最も多い芋焼酎については、3Mと呼ばれる森伊蔵、村尾、そして魔王がよく知られており、この3Mの存在が現在の焼酎人気を確固たるものにしました。
平成19年には、焼酎は過去最高の消費量を記録しますが、このときには誰もがこぞって「魔王」を探し、「森伊蔵」を飲みたがり、焼酎通を自称する人に至っては、森伊蔵でも魔王でもなく、「村尾」だと言ったりしたものです。
これら3つの焼酎の蔵に共通したのが、手間暇かけた焼酎造りを行っているため、生産本数が圧倒的に少ないことです。
そのため、地元以外で手に入れることはたいへん難しい希少価値も相まって、日本全国に知られたのは確かでしょう。
ただ、芋焼酎の本場である鹿児島県だけに、これら3M以外にも上質の本格焼酎、いわゆるプレミア焼酎を造り出している蔵はたくさんあります。
その一つが、焼酎界では知らぬものはいないプレミア焼酎の造り手である「佐藤酒造」です。

■創業してから100年以上の歴史を持つ焼酎の蔵元
佐藤酒造が焼酎造りの蔵元として創業したのは、1906年(明治39年)のことです。
2019年現在で操業して113年となりますが、この佐藤酒造が焼酎界で抜群の知名度を誇っているのは、決して規模の大きな蔵だからというわけではありません。
むしろ、規模としては決して大きくなく、そのため、毎年造られている焼酎の本数も多くありません。
たくさん造っていない理由は、毎年こだわり抜いて選んだ原材料を使って蒸留し、これを人の手によって仕込み、一つひとつ丁寧に熟成させていくという、昔ながらの薩摩焼酎の作り方をいまでも頑なに守っているからです。

鹿児島県霧島市には、ほかにもプレミア焼酎を造り出す有名な蔵がありますが、いずれも蔵の規模は大きくないどころか、こぢんまりとしていると言ったほうがしっくりくるところがほとんどです。
佐藤酒造をはじめとする小さな蔵から、マニア垂涎のプレミア焼酎が生み出される理由はただ一つで、大量生産が可能な焼酎造りに頼らず、杜氏や職人など、匠の技を持つ人たちが精魂込めて焼酎造りに取り組んでいるからにほかりません。
佐藤酒造が持つこだわりは、限られた数しかないものの、仕込みのすべてを大切にし、プレミア焼酎の名にふさわしい上質の味わいに育て上げる、手間のかかる作り方を変えないことでしょう。

■苦難の道のりを超えて生み出されたプレミア焼酎
いまや焼酎界でその名を知らぬものはいないとまで言われるほど有名になった佐藤酒造ですが、1970年から1984年の間は焼酎造りを断念し、蔵を休業したという苦い過去があります。
実はこのとき、現在プレミア焼酎を生み出す蔵元として有名な焼酎酒造会社の多くが焼酎造りをストップさせているのです。
その理由は、バブル期に入って洋酒が売れに売れる一方で、焼酎はおしゃれではないという理由からまったく売れなかったからです。
その後、バブル崩壊とともに、デフレに苦しむ日本で焼酎の消費量が増えました。
そして焼酎ブームが巻き起こったのが平成19年のことです。成功の裏側には大きな苦労がありました。

■佐藤酒造を代表する焼酎
佐藤酒造の名を冠した3つの佐藤シリーズの中で、白麹仕込みで造った芋焼酎が「白麹仕込 佐藤 芋焼酎 1800ml」で、白麹の優しさと黄金千貫の甘さが調和した非常においしい芋焼酎です。
白麹の柔らかい酒質は軽い口当たりを生み出し、雑味のない黄金千貫の甘さと香り、そしてしっかりとしたコクが感じられる仕上がりは、佐藤酒造だからこそ造り出る味わいと言えるでしょう。
芋本来の香りを楽しむにはお湯割りが最もベストとなる芋焼酎ですが、通称・佐藤の白と呼ばれるこの商品は濃厚な味わいとコクがあるため、ロックでも非常においしく味わえるところがプレミア焼酎の真骨頂です。