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キャンペーンに当選した人だけが手にできた秀逸品

■ 非常に希少な限定品
「初号 スーパーニッカ （Super Nikka） クリスタルボトル」は、1962年にニッカウヰスキーから発売されたブレンデッドウイスキーです。
発売当時のボトルには、宮内庁御用達のカガミクリスタルが使用されていました。
デザインは佐藤潤四郎氏によるもので、ガラス職人が一つひとつ手拭きで作り上げたセミクリスタル製となっています。
2018年に一度終売を迎えましたが、「スーパーニッカ 愛のクリスタルボトルキャンペーン」で復刻し、キャンペーンに応募した方の中から56名にだけプレゼントされるという大変貴重な賞品でした。
そのため手に入れることができた人は非常に幸運で、それ故希少な限定品としても知られています。
初号 スーパーニッカ （Super Nikka） クリスタルボトルは、ヘビーなピートの味わいが楽しめるのが特徴で、これぞまさにニッカウヰスキーの神髄というにふさわしい仕上がりとなっています。

■ スーパーニッカ初号復刻版に込められた想い
1962年に発売された商品の中に「初号スーパーニッカ復刻版」がありますが、これはある人へ捧げるために開発されたブレンデッドウイスキーです。
ある人とは竹鶴リタ、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝の愛妻で、スコットランド出身の女性です。
リタはウイスキー造りを学ぶため、スコットランドに留学していた頃の政孝と出会って結婚しました。
政孝は日本で本物のウイスキー造りをするという夢を叶えるべく、スコットランドで修業に励んでいる最中でしたが、リタとの結婚で政孝は夢を諦めてスコットランドに残ることを決意します。
しかし政孝の夢を知っていたリタは、自分が日本へ行くことを決意しました。
見たことも聞いたこともない異国の地へ娘を嫁がせるなど、リタの両親にとっては到底許すことはできません。
政孝の両親にとっても、青い目をした外国人の嫁などもってのほかと、二人は周囲の猛反対を受けます。
それでも教会で立会人だけのひっそりとした結婚式を挙げ、二人は日本へと帰国したのでした。
数々の困難を共に手を取り合い乗り越えてきた政孝とリタでしたが、1961年にリタが永遠の眠りにつきます。
そのときの政孝の憔悴ぶりは激しく「おばあちゃんが死んじゃった」と、人目をはばからず号泣したといいます。
自室に閉じこもり、葬儀の準備もせずに政孝は悲嘆に暮れました。
その後政孝は愛妻リタに捧げるため、二人の思い出がいっぱい詰まった初号スーパーニッカでブレンデッドウイスキーを造ることを決意します。

■ 特別なウイスキーの誕生
スーパーニッカ初号復刻版は、初号スーパーニッカをブレンダーがテイスティングして誕生したものです。
未開封の初号スーパーニッカが現存していたことで、発売当時と同じ味わいと香りを再現することができました。
研究開発には政孝のほかに息子の竹鶴威氏も加わり、二人は日夜余市蒸溜所内にある貯蔵庫にこもって作業を続けます。
そしてついに誕生したのがスーパーニッカ初号復刻版で、政孝のリタへの愛情が込められたウイスキーでした。
晩年の政孝とリタは、夕食後に二人でスーパーニッカを嗜むことを楽しみとしていたといいます。
1961年にリタが天国へと旅立ち、1979年8月29日に政孝がリタの元へと旅立つまで、政孝は毎晩リタのことを想いながらウイスキーを飲んでいたに違いありません。
自分の死期が近いことを悟った政孝は、家族に「国際結婚だけはするなよ」と言い残します。
文面だけを見ればさまざまな解釈ができますし、穿った見方をした人も少なくありません。
政孝のこの言葉は、国際結婚を決意させたリタに対する感謝と懺悔の意味が込められています。
故郷から遠く離れた言葉も文化も違う日本へ、自分を愛して信じてついてきてくれた感謝と、それに伴う多大な苦労をかけたことへの詫びる気持ちの表われでしょう。
国際結婚がリタにかけた負担の大きさを慮った政孝は、リタと同じ思いを家族にさせてはならないという思いがあったに違いありません。
しかしリタは自分が不幸だと嘆くことは決してなく、政孝への愛が変わることもついぞなかったのでした。