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モルトの香水スプリングバンクから生まれた「ヘーゼルバーン 9年 バローロカスク」

■ヘーゼルバーン 9年 バローロカスクの概要

「ヘーゼルバーン 9年 バローロカスク」は、スコットランドのキャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所において生産されたシングルモルトウイスキーです。
使用されている原料はノンピート麦芽で、3回蒸溜しています。
蒸溜年は2007年、熟成年数は9年ですが、最初の6年間をファーストフィルのバーボンバレルで熟成し、その後3年間イタリア最高峰の赤ワイン「バローロ」のホグスヘッドで追熟しているのです。
2016年にボトリングされ、容量は700ml、10,800本が生産されていますが、そのうち600本が日本に輸入されています。
香りは、「マンダリン」「パイナップル」「ベリー」などのフルーツのアロマの香りがメインです。
そこに「金平糖」「シュガーアーモンド」さらにほんのりとした潮風の香りを楽しめます。
味わいは、最初に「レーズン」「ココナッツ」「パイナップル」「バニラ」などの甘酸っぱいフルーティーな味が広がり、その後、徐々に濃厚な黒糖やチョコレート風味へと変わっていくのです。
口の中に広がって徐々に変化していく深い味わいと香りを、ゆっくり楽しむことができます。

■ヘーゼルバーンの歴史

ヘーゼルバーンは、キャンベルタウンのスプリングバンク蒸溜所において生産されているシングルモルトウイスキーです。
スプリングバンク蒸溜所では、このほかに「スプリングバンク」と「ロングロウ」という2つのシングルモルトも生産しています。
ヘーゼルバーンという名称は、スプリングバンク蒸溜所の前身にあたるヘーゼルバーン蒸溜所から来ているのですが、ヘーゼルバーン蒸溜所は1828年にコルヴィル家のグリーンリース・コルヴィル社が設立した歴史のあるキャンベルタウンを代表する蒸溜所でした。
創業以来、フロアモルティングによる製麦から瓶詰めまでのすべての工程を敷地内で行うという伝統的な製法を守り続け、1845年にはウイスキー産業の好景気を背景に、キャンベルタウン最大となる設備を持つ蒸溜所へと拡張していったのです。
そして、ヘーゼルバーンのウイスキーはキャンベルタウンのみならず、グラスゴーまで海上輸送され熟成されました。
しかし、第一次世界大戦後の不況や増税、禁酒運動などの影響により急激にウイスキー産業は衰退し、ついにヘーゼルバーン蒸溜所も1925年に閉鎖されてしまいます。
1933年に再開を果たすも運営は厳しい状況を何度も通らされ、1979年には2回目の閉鎖に追い込まれます。
1987年に再稼働したものの稼働は限定的で、全面再開は1989年のことでした。
現在はスプリングバンク蒸溜所と名称が変わり、「モルトの香水」と称されるほどの人気を取り戻しています。
かつての蒸溜所の名前を冠して1997年に登場したヘーゼルバーン・シングルモルトウイスキーは、このような紆余曲折を経て現在に至る蒸溜所の復興を目指して生まれたのです。

■ニッカウヰスキーとの関係

NHK朝の連続ドラマ「マッサン」で一躍有名になったニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝氏と、このヘーゼルバーン蒸溜所はとても深い関係にあります。
彼は、1918年12月にスコットランドに渡り、翌年スペイサイドのロングモーン蒸溜所でモルトウイスキーの製造を、またボーネスのジェームス・カルダー社工場でグレーンウイスキーの製造の実習を受けます。
その後1920年にこのヘーゼルバーン蒸溜所でモルトウイスキーの製造実習とブレンド技術を学ぶのです。
不況により閉鎖に追い込まれる数年前のことですが、その技術の高さに圧倒される場面が、ドラマでも描かれていました。

■その他のヘーゼルバーン シングルモルト

「9年 バローロカスク」のほかにも人気のヘーゼルバーンブランドのウイスキーはいろいろありますが、代表的なものを挙げると、熟成樽バーボン60％、シェリー40％の樽出し原酒によるバッテドモルトの「8年1998年-2007年キングスバリー シングルカスク」やバーボンの熟成樽のみで10年以上熟成され比較的手に入れやすい「10年」、オロロソシェリー樽100％で熟成し、13年熟成原酒同士をヴァッティングした「ヘーゼルバーン13年シェリーウッド」などです。