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シングルモルトウイスキーにこだわるニッカウヰスキーの歴史

■今ではサントリーとニッカ
ウイスキーの世界5大名産地として知られる中には、日本も含まれています。
ウイスキーの歴史は比較的浅く、現在のような琥珀色をした美しい液体のお酒になったのはわずか200年ほど前のこととされていますので、驚く人も多いでしょう。
そんな歴史の浅いウイスキーのなかで、5大産地の一つとなるほど高品質のジャパニーズウイスキーに、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝の存在は不可欠です。
また、竹鶴政孝とともに、竹鶴に国産ウイスキー作りを任せたサントリーの創業者・鳥井信治郎の英断があったことも忘れてはなりません。
戦後の日本に定着したウイスキーメーカーには、サントリーとニッカの他、キリン・シーグラムなどもありましたが、今ではジャパニーズウイスキーといえばサントリーかニッカウヰスキーといわれるほど、両社のウイスキーは高品質となっています。

■竹鶴政孝が作ったニッカウヰスキー余市蒸留所
竹鶴政孝は、スコットランドにウイスキー作りを学びに行くようにと就職先の摂津酒造から命じられ、ウイスキー作りの知識と技術を身に着けるため、単身、スコットランドに旅立ちます。
1918年、竹鶴政孝20歳のときのことです。
竹鶴政孝がウイスキー作りを学んだスコットランドのロングバーン蒸留所では、ポットスチルと呼ばれる微粉炭直火蒸留によってウイスキーが作られていました。
炭を使うため、専門の窯用掃除職人はいるものの、その職人でさえ嫌がるポットの中の掃除を、竹鶴政孝は内部の仕組みを知るために自ら率先して行ったとされています。
裸になってポットスチルに入って掃除をする傍ら、竹鶴政孝は着実にポットスチルをはじめとするスコッチウイスキーの知識と技術を習得していきます。
これは、現在余市蒸留所に展示されている「竹鶴ノート」と呼ばれる、竹鶴政孝が記したノートのレプリカから知ることが出来ますので、一度は見てみたいものです。
非常に勉強熱心で真面目な政孝の人柄が、この竹鶴ノートから伝わってきますので、このノートを見れば、誰もが竹鶴政孝という人に対して好意を抱くことでしょう。

■実は出資者に嘘をついていたという一面も
スコットランドで学んだ後、サントリーの前身である寿屋に技術者として雇用され、さまざまな紆余曲折を経て国産ウイスキー作りに奔走した竹鶴政孝は、40歳になったのを機に自分の蒸留所を作ろうと、スコッチウイスキーの作り方を学んだスコットランドの気候に似た余市に蒸留所を作ります。
けれど、1934年7月に出資者を募ってできた会社は「大日本果汁株式会社」という、リンゴジュースを作る会社でした。
それというのも、ウイスキーを作るには蒸留後、熟成期間が必要で、その間はウイスキーを作ることはできなかったからです。
与市で豊富にとれるリンゴでリンゴジュースを作り、その売り上げでウイスキー作りに着手するという考えを持っていた竹鶴政孝は、傷がついて売り物にならないリンゴでも買い取る会社としたことから、リンゴ農家が大日本果汁株式会社の前に長い行列を作ったとされています。
ただ、政孝は出資者にウイスキー作りをもくろんでいることは内緒にしており、あくまでもジュース会社と言い張っていました。
ところが、政孝のこだわりが作るリンゴジュースは混ぜ物を一切しないで作られたため、濁りが生じ、返品の山となります。
出資者からどうするつもりかと迫られ、実はウイスキー作りを考えていたと白状することになってしまったのです。
真面目で誠実な人柄とされた政孝の、余市で本物のスコッチウイスキーを作りたいという気持ちの表れがつかせた嘘だったといえるのではないでしょうか。

■プレミア続出の余市蒸留所のシングルモルトウイスキー
シングルモルトウイスキーとは、大麦を原料として作るモルトだけを単一蒸留機で作ったウイスキーのことをいいます。
この製造にとことんこだわった竹鶴政孝だけに、熟成の時を迎え、本格的にウイスキー作りに着手できるようになった大日本果汁株式会社は、ニッカウヰスキーとなを改め、上質なウイスキーを次々と作り出していきました。
余市蒸留所で限定販売されるのが「余市」シリーズで、「 シングルモルト 余市 ピーティ＆ソルティ」もまた、余市蒸留所限定のシングルモルトウイスキーです。
マッサンこと竹鶴政孝がこだわったピートを多めに使っていることから、しっかりとしたスモーキーフレーバーになっているのが特徴です。