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ジャパニーズウイスキーの歴史を辿るなら余市へ

■今や世界で5本の指に入る上質さ
日本のお酒といえば、何といっても日本酒という人がほとんどでしょう。
一時期、焼酎ブームが巻き起こったこともあり、また、南国の薩摩では日本酒ではなく焼酎が飲まれることが一般的で、日本酒の人気が落ちたことがありました。
かつては独立した王国であった沖縄は、琉球王国として独自に泡盛というお酒の文化を持っており、焼酎と同じ蒸留酒でありながら、泡盛は泡盛で焼酎とは違うという独自の区別をいまだに守っています。
とはいえ、農耕民族であった日本は昔から米作りをしてきたことから、お米からお酒を作るのが、もっとも材料が手に入りやすかったのは事実です。
その結果、自然と日本酒文化が広まっていったといえるでしょう。
そう考えると、やはり日本酒が日本のお酒の筆頭と言えます。
そんな日本ですが、意外にも日本で作られるウイスキーは、世界でも5本の指に入る上質なものであるとして、今やよく知られています。
スコットランドのウイスキーをスコッチウイスキーといい、アイルランドのウイスキーはアイリッシュウイスキーといいます。
アメリカのウイスキーはバーボンと呼ばれるなど、それぞれ海外のお酒というイメージが強い中、日本で作られるウイスキーはジャパニーズウイスキーと呼ばれ、世界中から愛されるようになりました。

■なぜ日本のウイスキーが上質になったのか
日本酒が伝統的なお酒であるはずの日本で、なぜ上質のウイスキーが生まれたのかを知りたければ、北海道の余市へ行くといいでしょう。
ここには、ウイスキーのメーカーとしてその名を世界に馳せる、ニッカウヰスキーの余市蒸留所があります。
ニッカウヰスキーの創業者が竹鶴政孝氏であることは、NHKのテレビドラマ「マッサン」で良く知られるようになりましたし、その奥さんがスコットランド生まれのリタという女性（ドラマではエリー）であることも、有名です。
昭和初期のころ、リタにとって日本は、遠い遠い異国の小さな国だったことでしょう。
とはいえ、リタ自身もスコットランドという島国の一つで生まれ育ったことから、意外と親しみを感じてくれていたかもしれません。
北海道の余市はリタが生まれ育ち、マッサンが単身、スコッチウイスキーの作り方を学びに行ったスコットランドの気候と、非常によく似たところだったのです。
マッサンの情熱とリタの支え、そして余市という場所が、今もニッカウヰスキー余市蒸留所に上質のウイスキーを作り出させていると言っても過言ではありません。

■全国からウイスキーファンが集まる余市蒸留所
今でこそニッカウヰスキーといえば、押しも押されもせぬ日本ウイスキーの二大メーカーの双璧を成していますし、世界にもその名を知られています。
しかし、上質のウイスキーを作れるようになるまでの紆余曲折は、並大抵のものではありませんでした。
そんなニッカウヰスキーと竹鶴政孝氏、そして妻のリタ、さらにはニッカウヰスキーを守り続けた社員たちの歴史を知ることが出来るのが、ニッカウヰスキー余市蒸留所です。
当時、国際結婚をする人すら珍しい時代に異国の女性と結婚し、さらには合理的かつ革新的な物の見方、考え方をした竹鶴政孝氏のことを知れば知るほど、ニッカウヰスキーへの関心は高まることでしょう。
そんなニッカウヰスキー発祥地の余市蒸溜所で、昭和63年に5つのタイプの長期熟成モルトを厳選して作られたのが、シングルモルト「余市1988」です。
樽出し度数に近い55%のアルコール度数そのままに瓶詰めしたため、ボリュームのある香りと深い味わいが楽しめる、まさに特別なシングルモルトウイスキーに仕上がっているのが特徴です。
おそらくは天使のわけまえがかなり生まれたであろう、20年という長い貯蔵期間の間に、深い琥珀色をしたヴィンテージモルトが生まれました。
本場スコットランドのスコッチウイスキーにこだわり続けた竹鶴政孝氏の情熱と、ニッカウヰスキーの魅力を存分に堪能することができる逸品です。