ハブ酒はこんなお酒です
瓶の中でとぐろを巻いたハブが強烈な印象を与えるハブ酒は、漢方由来のマムシ酒と同じように薬用酒として古くから飲まれてきました。
中国との貿易が活発に行われていた時代に蛇酒の製法が沖縄に伝わり、ハブが生息する地域で作られるようになったと言われています。
中国医学では、水だけで100日以上生きると言われる蛇には滋養強壮効果があるとされ、アルコール度数の高いお酒に長期間漬け込むことで蛇の成分を溶け出させました。
そのため、ハブ酒のベースとなるのは沖縄では泡盛、鹿児島では芋焼酎、奄美大島や徳之島では黒糖焼酎などアルコール度数の高いお酒となっています。
独特の臭みがあるため香草やハーブなども漬け込むことが多く、熟成され赤褐色になったところで店頭に並びます。
じっくり熟成したハブ酒には12種類の必須アミノ酸やハブの成分が含まれており、今でも滋養強壮や血行促進などに良いと言われているのはそのためです。
ハブ酒はこうやって作られます
ハブ酒を作る時に大事なのが臭みや腐敗を防ぐことです。
腐敗は度数の高いアルコールに蛇の全身を漬けることで防ぎ、そして臭みは製造過程の処理と香りのよいハーブ酒などをブレンドすることで防ぎます。
ハブの毒はアルコールによって解毒されるため、特別な作業は必要ありません。
具体的な製法は、まず捕まえたハブを3か月~1年ほど絶食させ、体をしごいてから洗浄して腸内を空っぽにします。
そのハブを生きたまま40度以上の焼酎などに入れ、4~5リットルの瓶に詰め直して熟成させるのが一般的です。
熟成期間が長くなるほどハブの成分がお酒に溶け出して味が良くなっていくとされ、10年以上熟成してから販売する場合もあります。
臭みを防ぐため血抜きや内臓と臭腺の除去などをしてから漬けることもあり、製造過程によって臭みに大きな差が出るのが特長です。
注ぎ足しで長く楽しめるお酒です
ハブ酒を飲んでいくとハブの体がお酒から出てきてしまいますが、そうなると蛇が腐敗し始めてしまいます。
それを防ぐために、ハブが空気に触れる前に度数30%以上の焼酎などを注ぎ足しましょう。
さらなる長期保存が可能になるだけではなく、注ぎ足した後もハブの成分が溶け出し味わいが増していきます。
基本的には3回まで注ぎ足し可能で、お酒の種類が違う場合は1か月ほど寝かせてから飲むと味が馴染みます。
長く楽しめるお酒なので、薬用酒としても純粋にお酒としても味わってみてください。