酸化防止剤って何のために入れているの?
ワインの多くには原材料としてブドウのほかに、酸化防止剤(亜硫酸塩)と表示されているのが一般的です。
酸化防止剤とか亜硫酸塩とはいったい何なのか、言葉の響きが強烈なだけに気になるところです。
酸化防止剤は食品添加物の一種で、字のごとく酸化を防止するために添加されます。
酸化とは物質が酸素に触れることで劣化していくことを指し、それを防止して、酸化しにくくし、酸化による劣化のスピードを遅らせる目的で酸化防止剤が添加されます。
また、酸化防止剤として亜硫酸塩を用いることで酸化防止と同時に、微生物による汚染が防止され腐敗や品質劣化を防ぐことができます。
使用量や体への影響
ワインに添加される酸化防止剤の使用量は、日本では食品衛生法によって上限値が決められています。
その上限値は350mg/L以下となっており、製造時や輸入にあたっては、この基準を満たすワインのみが国内流通が認められます。
食品添加物は基準に従って使用し、かつ、大量に毎日摂り続けることがなければ、飲んでも健康に害をもたらすものではありません。
むしろ、風味や味わいの劣化を防ぎ、長く美味しく保たれる役割を果たしてくれます。
無添加が好まれているわけ
もっとも、最近の健康ブームや食育ブーム、食へのこだわりが強い方が増える中で、酸化防止剤を使ったワインはえぐみがある、風味が悪い、ぶどう本来の味わいを損ねるといった向きや、酸化防止剤を添加したワインは悪酔いしやすいといった感想を持つ方もいます。
そこで、最近ではメーカー側でも酸化防止剤無添加のより安心して飲めるワインの開発と販売に力を入れるところも増えてきました。
酸化防止剤を入れずに風味を保ち、劣化を遅らせたワインを造り出すには、酸化防止剤を添加するワインとは発酵に使う酵母の種類や比率を変えることや、製法を工夫することが必要となります。
亜硫酸塩を発酵前の果汁に少量加えることで、ぶどうに付着している雑菌を殺菌する働きがありますが、これを添加しないため雑菌が増殖して悪臭が発生しないように、酵母の選び方にも気を配る必要があるためです。
また、ボトリングの段階でもワインが酸素となるべく触れないような対策を施しているケースが多くなっています。